「クレー」のエントリーでも言った通り、大学時代は一生懸命美術館に通ったものだが、その割に絵画のことは、なーんも覚えてない。
京都市美術館でピカソの超どデカい裸婦像を見て「??」と思ったり、そんな記憶はあるのだが。

だから好きな画家を挙げろ、と言われると、困る。
大学の美術部の同期にそんな質問をされて、「ルノワール」と答えたら「えらくミーハーだね」と言われた。


今挙げるとしたら・・・三人かな。
一人目はもちろんパウル・クレー。

Wintertag Kurz vor Mittag

ナチスに「退廃芸術」とまで言われてしまった、独特の陰りが好きだ。
きっと生涯絶望と希望の狭間で苦しみながら、その先にある真実はしっかり見えていたに違いない。
「彼岸」を描き続けた作家だ。


二人目は、かつて前の会社でレイアウト講義にも使ったことのあるフェルメール・・・もいいのだが、実物を見ると意外と拍子抜けする。
しょっちゅう日本に来ては長蛇の列を作るのだが。
「真珠の耳飾りの少女」、大好きだけどね。

今ちょっとはまっているのが、フェルメールと同時代のヤーコプ・ファン・ロイスダール。

ロイスダール「ウェイク・ベイ・ドォールステーデの風車」

オランダ絵画と言えば「光と影」だが、レンブラントともフェルメールとも違って、バロック独特の強烈さがなく、世界そのものを優しく捉えているところが好きだ。
この肯定感。黄昏時の、深く美しい空。


そして三人目は、この絵だけしか評価していないのだが、ジャン=レオン・ジェローム。

Jean-Leon Gerome (1824-1904) - Phryne devant l'areopage

「アレオパゴス会議のフリュネ」という作品。これを高三の時に見て、度肝を抜かれた。
裸婦というものがこれ程劇的で、尊崇に値するものなのかと。
思春期だから当時裸婦像もエロい目で見ていたものだが、その邪な気持ちが吹っ飛んだ。

あ、もちろんフリュネというのは、後に『フラクタル』のヒロインとして名前をいただいています。
その前に高校の舞台発表でも使わせてもらったんだけど。


美術館行かなきゃなぁ。
もう3年くらい行ってないかも。あ、ロサンゼルスで行ったか。