消毒液はヂアミトール 空ボトル3本押収
使用済みの注射器も3本程度押収、残留物の鑑定進める
横浜市神奈川区の大口病院で点滴に異物を混入され入院患者2人が中毒死した事件で、2人の体内から検出された界面活性剤の成分を含む消毒液の空のボトル3本が病院内で捨てられ、神奈川県警が押収していたことが捜査関係者への取材で分かった。消毒液は「ヂアミトール」という商品で、2人が入院していた4階のナースステーションにもあった。県警は、2人の点滴袋に注射器で注入された可能性があるとみて調べている。
押収したボトルはプラスチック製。2人の点滴にはこの空ボトルに入っていた消毒液が混入された可能性があり、県警はボトルに残された痕跡などを調べている。死亡した八巻信雄さん(88)と西川惣蔵さん(88)の体内からヂアミトールに含まれる界面活性剤の成分が検出された。
県警はまた、使用済みの注射器も3本程度発見して押収しており、事件に使われた物かどうか残留物の鑑定などを進めている。
ヂアミトールは医療機関で主に手指の皮膚の消毒、医療機器の殺菌などに使われる。劇薬指定はされていないが、「刺激症状があり高濃度では皮膚・粘膜に付着しない」「経口投与しない」などの注意書きがついている。高濃度液を誤飲すると中毒症状が起きる。濃度が薄められた製品もあるが、医療機関では一般的に、高濃度の製品を用途に応じて水で薄めて使われる。透明に近く、振ると泡立つという特徴もある。
人体に影響の大きい薬品類は管理が徹底されているのに対し、消毒液のヂアミトールは院内で厳重に保管されていなかったとみられる。
西川さんは18日午前、八巻さんは19日午後10時ごろに点滴を交換されていた。点滴袋は17日午前に、病院の薬剤部から4階ナースステーションに搬入され、無施錠の場所に保管されていた。このため県警は、17日午前から18日午前までの間に、消毒液が注射器で点滴に注入された可能性が高いとみて調べている。【国本愛、村上尊一】