米西部に着陸 国産旅客機で半世紀ぶり
ワシントン州モーゼスレークの「グラント郡国際空港」に
【米西部モーゼスレーク竹地広憲】国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」が28日夕(日本時間29日午前)、試験飛行の拠点となるワシントン州モーゼスレークの「グラント郡国際空港」に着陸した。新型の国産旅客機が米国に飛来するのは、国産初のプロペラ機「YS11」(官民出資の日本航空機製造が開発)がデモ飛行した1966年9月以来、半世紀ぶり。米国への移送は8月下旬に空調システムの不具合で2度中断しており、3度目で実現にこぎ着けた。
MRJは同空港の滑走路南側から着陸。駐機場に進むと、消防車による「放水アーチ」で祝福を受けた。開発を担う三菱航空機や同空港関係者らが出迎え、タラップを下りてきたパイロットを拍手でねぎらった。
三菱航空機は、機体の安全性を認める国土交通省の「型式証明」の取得に計2500時間の試験飛行が必要と想定。年内にもMRJの試験機5機のうち4機を米国に送り、日米で試験飛行を繰り返す。2018年半ばにMRJを全日本空輸へ初納入することを目指している。
グラント郡国際空港は晴天率が9割以上と飛行に適した条件が整っており、この日も晴天に恵まれた。米国では、極寒環境を再現できる南部の施設などでも試験を行う。8月の移送中断で試験開始が1カ月遅れており、安全・環境性能の実証作業を急ぐ方針だ。