テキストマイニングへの人工知能活用 4つの適用例
適用例1.メールアンケートの分析
メルマガやメールアンケートは現在主要なマーケティング手法の1つとなっています。集計や分析がしやすいよう、返信メールは可能な限り選択肢にしていますが、多くの企業ではお客様の生の声を収集するため、自由記入欄を設けています。
そのテキストは宝の山なのですが、分析には時間と手間がかかります。そこで、テキストマイニングに人工知能アルゴリズムを加えた製品が提供されています。お客様の感情を特殊なアルゴリズムで読み取り、数段階に分類し、自社サービスがどれだけ評価されているか見える化します。アンケートはもちろん、SNSで収集したデータにも活用できます。
また、お客様から寄せられるメールを分析して、トラブルを早期に発見するサービスも登場しています。たとえば「遺憾」という言葉をキャッチし、どのように使われているかを学習して、スコア化。トラブルが発生する危険性を高いレベルで予測し、警告します。
適用例2.新聞記事で長期市場動向を分析
機械学習法とテキストマイニングを組み合わせて、新聞記事から経済動向を予測するシステムが研究されています。従来、経済市場予測は日銀から発表される月報などの数値データの利用が主流でした。しかし、これだけでは適切な投資が困難なため、日本経済新聞の経済情報をテキスト化して、投資データとする研究です。
日経新聞で繰り返し使われている動詞・名詞・形容詞を抽出。同一文中に隣接している言葉もあわせて分析し、市場の長期予測を行うのです。約10年間のデータを分析したところ、1ヵ月後の予測では、市場平均株価において60%以上の騰落正答率を収めたと報告されています。
適用例3.社内ビッグデータを分析
ビッグデータはインターネットから寄せられるデータばかりではなく、一般企業の情報システムでも発生しています。
とりわけ製造業では、生産管理システム、品質管理システム、在庫管理システムなどの業務システム、設計書や日報など人間系で作成した文書、さらに各種センサーが記録しているデータを合わせると、膨大な量になります。これらは形式が異なるため、単純に集計することはできません。
これらを収集し、学習機能によって推論し、レポートとして報告するテキストマイニングシステムが提供されています。製造現場で発生する事象を的確にまとめることにより、改善やトラブル発生の際の解決のヒントとなります。
適用例4.コールセンターの顧客の声を分析
コールセンターでの音声記録は受付履歴や証跡として1990年代から見られるようになっています。ほとんどの企業では一定期間が過ぎると自動的に廃棄していましたが、人工知能を組み合わせることによって、言葉として認識できるようになりました。現在では、日々のレポートとして提供するシステムもあります。
従来、新人のオペレータはレポート作成に手間取り、時間がかかっていました。これを人工知能が代行することで、新人の即戦力化が可能となります。また、履歴を分類ごとに集計し、問い合わせや苦情の傾向を見える化することもできます。機械学習法を取り入れることで、精度も高まっています。
これがさらに進んで、リアルタイムにアラートを出す機能も発表されています。レポート作成はバッチ処理で行われるため、通常、翌日以降の報告となりますが、「障害」「食中毒」などの音声があると直ちにアラートが出され、上司に自動的にエスカレーションします。このリアルタイム分析の仕組みは、コールセンターのみならず、SNSにも応用され、トラブルの早期解決に役立っています。
まとめ ~ 身近な人工知能とテキストマイニング ~
生活やビジネスなど、私たちの身近なところで人工知能とテキストマイニングが活躍しています。この傾向は今後ますます活発化していくと思われます。企業内のテキストデータもリアルタイムなテキストマイニングが可能となっています。テキストマイニングで新たなビジネスチャンスを創造してみませんか。
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