堀江さんの新刊「ゼロ」が面白かったのでピックアップ記事を書いています。





お金ではなく、信用に投資すべき



一般的には未だに「守銭奴」的イメージが残っている気がする堀江さんが、こういうことを語るのは実に象徴的で面白いです。


お金に投資する時代は、もう終わった。

これからの時代を生きるあなたには、「お金」ではなく、自らの「信用」に投資することが求められている。ほんとうに困ったとき、人生の崖っぷちに追い込まれたとき、失敗してゼロに戻ったとき、あなたを救ってくれるのはお金ではなく、信用なのだ。


信用が大切になるというのは、「評価経済社会」の岡田斗司夫さんをはじめ、様々な論客が語っている主張です。ぼく自身もこれには大変共感しており、よく冗談で「フォロワーが3.5万人いるので、死にそうになったら『お米ください』とツイートすれば生きていける気がしています」とのたまっております。




で、次に気になるのは「信用の投資」を、具体的にどのように実践してばいいのか。書中では「自分に自信を持つこと」と「背伸びをすること」が大切だと語られています。


相手がどのように評価し、信用してくれるかどうかは、こちらでコントロールできる問題ではないのだ。特に、なにもないゼロの人間が、「わたしを信じてください」と訴えても、なかなか信用してもらえないだろう。

それでも、ひとりだけ確実にあなたのことを信用してくれる相手がいる。

「自分」だ。

そして自分に寄せる強固な信用のことを、「自信」という。





自信を持つことで、他人からの信用も獲得しやすくなります。つまり、「背伸び」し、高いパフォーマンスを上げることができるようになるのです。

ハッタリをかますこと、背伸びをすることは、決して悪いことじゃない。他者からの信用を獲得していくために、絶対に乗り越えなければならないハードルなのだ。

80の力しかないのに、100の仕事を引き受け、それを全力で乗り越える。すると次には120の仕事を依頼してもらえるようになる。

信用とは、そうやって築かれていくものなのだ。


背伸びをするためには、自信が必要です。それは「根拠なき自信」といってもいいでしょう。というわけで、書中ではまずは自分を信用することから始めるべきだ、と説かれています。




採算度外視で人の役に立てば、信用は蓄積する



ここからはぼくの「信用論」になります。ぼくは、信用を蓄積するためには「採算度外視で他者の役に立つこと」がもっとも手っ取り早いと感じています。

わかりやすくいえば、それはボランティア、プロボノなど、無償の社会貢献活動になるでしょう。大それたものではなく、近所のおじいちゃん、おばあちゃんの話し相手になる、知り合いの子どもに勉強を教える、といったコミットメントでも十分です。

このとき大切なのは、金銭やモノといった「対価」を要求しないことです。相手が「どうしても、もらってほしい」と言い出さないかぎりは、「採算度外視」を前提に行動しましょう。




「採算度外視」の度合いが高ければ高いほど、相手は自分に対して「恩」を感じてくれます。

極端な例を出せば、みなさんが線路に落下したとき、誰かが命の危険を冒してまで、線路に飛び出し、自分を助けてくれたとしたら、その人に対して強烈な「恩」を抱くはずです。まさに「命の恩人」です。

なぜかといえば、あなたを助けてくれた彼・彼女は、まさに「採算度外視」であなたにコミットしてくれたからです。




「採算度外視」の人助けを行っていけば、それだけ多くの人に「恩」を感じてもらうことになります。「あの人は自分を助けてくれた、有益な存在だ」と感じてもらうという意味で、それは「信用」を積み重ねることそのものです。




ぼくは月間60〜80時間を投下して、無償の仕事をしています。色々な理由がありますが、「信用の投資」の実験をしたい、というのは間違いなく大きな理由です。

4年ほどプロボノ活動をしてきましたが、ぼくは適切に信用を蓄積できている実感があります。こういう文章を書くので嫌われることも多いですが、多分、それなりに人に「恩」は与えることができていると思います。

金銭的には大きなリターンを得ているわけではありませんが、友だちは増えましたし、自己肯定感も強くなりました。信用への投資、オススメですよ。




というわけで、みなさんも信用への投資を始めてみてはいかがでしょうか。生き方を変えてくれる良著です。