• 蒼乱
  • 詩天

【蒼乱】【詩天】漂う暗雲

マスター:猫又ものと

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/09/15 07:30
完成日
2016/09/23 07:23

オープニング

●暗雲
 仄暗い部屋。蝋燭の灯りが風に揺れる。
 金髪に赤い瞳の男が、片腕の赤い鬼を一瞥する。
 赤鬼は長い黒い髪を揺らして、言葉にならぬ言葉を、金髪の男に投げかけていた。
「……そーか、橋姫。ハンターにやられたか。で、腕一本取られたんだな」
「―――」
「うんうん。分かった。お前が心配するようなことじゃねえよ。何故かって? ……お前はもう用済みだからな」
 怯える橋姫。逃げる暇もなく金髪の男に首を潰されて消えて行く。
 その様子に、紺色の衣を着た優男が眉根を寄せる。
「やっとの思いで戻って来たというのに、秋寿さんったら随分可哀想なことをなさるんですね」
「あ? こいつの代わりなんざいくらだって生み出せるからいいんだよ。てか、弟を協力の見返りに差し出すようなやつに言われたかないぞ。そういや、あの青木って男はどうしたんだよ」
「準備を手伝って貰っていますよ。そんなことより……巫女と符術師の集まりが悪いようですね」
「……うるせえな。分かってるよ。九代目詩天が色々動き回って妨害してきやがって思うように進んでねえ」
「おや。秋寿さんを困らせるなんて随分優秀なのですね、現当主は」
「おうよ。そりゃあ俺の子孫だからな! って喜んでる場合じゃねえ。ハンター達が嗅ぎ回ってる。俺が出て行くのは得策じゃねえな」
「その優秀な現当主様も符術師なのでしょう? 協力を仰いではいかがですか? 元々あなたの成そうとしている『もの』です。持ちうる力も性質も最適でしょう」
「あー……。そうだな。その手で行くか。素直に協力するとも思えねえが、奥の手もあるしな」
 優男に頷く秋寿。彼が合図すると、奥から数体の橋姫が現れる。
「お前達。九代目詩天、三条 真美をここまで連れて来い。くれぐれも殺すなよ」
 頷く橋姫達。微かな衣擦れの音を残して、闇に消えて行く。


●詩天の成り立ち
 詩天の中心地、若峰の黒狗城。
 その一室で、九代目詩天、三条 真美(kz0198)と三条家軍師、水野 武徳(kz0196)が膝を突き合わせて難しい顔をしていた。
「……詩天には、そんな歴史があったんですか」
「左様にございます。詩天が詩天となる前の、忌まわしき記憶。禁忌とされた術……忘れてはならぬ歴史でございます」
「そのような大事な話を、何故父上は教えて下さらなかったのでしょう……」
「この伝承については、本来『詩天』の座と同時に継ぐべきものと聞き及んでおります。先代様は急に身罷られたゆえ、真美様にお話しする機会がなかったのでございましょうな」
 武徳の言葉に目を伏せる真美。
 己の自出は、決して褒められたものではないと知ってはいたけれど。
 それは想像以上に、罪深いものだったのかもしれない――。
「……武徳。その知識を、秋寿兄様が持っている可能性はありますか?」
「禁忌とされた術については、過ちを繰り返さぬ為敢えて遺さなかったという話を聞いたことがございますが……。あのお方も詩天候補で、先代様の補佐役の立場にあった者。何らかの知識を得ていてもなんの不思議もございませんな」
「そうですか……。分かりました。引き続き、国内にいる巫女と符術師の保護を進めてください。私は秋寿兄様を探します」
「承知つかまつりました。なれど、あと残っているのは先の戦で秋寿様に付いて戦った家の者。いわば、真美様は怨敵でございます。秋寿様が関わっているとなれば、喜んで力を貸すものもおりましょう」
「それでも、このまま見過ごす訳にはいきません。出来る範囲で構いません。説得を続けてください」
「御意」
 きっぱりと断じた真美に、深く頭を下げる武徳。
 ――ハンター達の助言の通りに、巫女と符術師の保護に乗り出したけれど。
 こうしている間にも、1人、また1人と消え続けている。
 一枚岩ではいかぬ詩天の国の歪みが、こんなところで形となって見えている。


●少年を狙うもの
 ハッハッハッハッ……。
 呼吸が浅い。走り続けて心臓が破れそうだ。
 でも、足を止める訳にはいかない――。
 依頼を受けてくれたハンターに逢う為、待ち合わせ場所に向かっていた真美は赤い肌の鬼――橋姫に追い掛けられていた。

 ――いいか、シン。無理はするな。

 頭を過るハンターの声。
 気を付けていたつもりだったのに。
 応戦しようかとも思ったが、この数には到底太刀打ちできない……。
 ――こんなことになって、叱られるだろうか……。
 もつれる足。少年の速度が落ちたのを見逃さず、橋姫の腕が振るわれる。
「つっ……」
 鋭い爪に服ごとえぐられる腕。噴出する赤いもの。
 痛みは感じない。熱いだけ……。
 早く逃げなきゃ。このままでは――。
 真美が再び走り出そうとしたその時、目の前に一陣の風がよぎった。
「……えっ?」
「……シン!? 大丈夫か!?」
「あっ。皆さん……」
「皆さん、じゃないですよ! 怪我してるじゃないですか! こいつら一体何なんです?!」
「皆さんに会いに行こうと思ったら急に襲って来て……」
「そうか。分かった。もう大丈夫だぞ」
 真美と橋姫の間に割って入ったハンター達。武器を構えて、注意深く歪虚と距離を取る。
「……貴方達、この子をどうしようっていうの?」
「―――」
 ハンターの声に、言葉にならぬ言葉を出す橋姫。
 見覚えのある姿に、ハンターがため息をつく。
「赤い肌に角のある歪虚……以前撃退した歪虚が仲間を連れて戻って来た、というところでしょうか」
「シン自身が目的なのか、ただ単に符術師が欲しいだけなのか、どっちなのかはっきりしないが……」
「見逃す訳にはいかないわよね!」
「あ、あの、私……皆さんに、詩天についてお話しないと……」
「シンさん、詳しいお話はこの者達を撃退してからにしましょうか」
 肩で息をする真美。
 ハンター達は、歪虚達と睨み合い――。

 そして、戦端が開かれる。

プレイング

ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239
エルフ|15才|女性|闘狩人
あの時現れた歪虚…、といっても別個体かしらね。私が腕を斬り落とした奴はいないみたいだし。
とはいえ、数を呼んで襲ってきたという事はある意味では狙い通り…って所かしら。
さて、と…前回は泳がせる為に逃がしたけど、今回は狩らせてもらうわよ。あんた達のご主人様を引きずりだす為にね…。

◆目的
橋姫の殲滅

◆行動
納刀状態で全身を脱力させた後、橋姫の一体に接近。間合いに入ると踏み込みと同時に身体を落とし、全身のバネを利用した起こしからの振動刀による居合の一撃を放ち、相手の虚を突いて戦局の主導権取りからの足止めを狙い。
上手く足止め出来たら、雷撃刀を抜いて二刀流に切り替え。
喰らい付く様に立ち回りながら、初撃で足を狙いの振り下ろしからの二撃目で腕狙いの切り上げで、相手の機動力及び戦闘能力を削ぎ、突破及び連携妨害狙い。
雄叫びは口を開けた瞬間に振動刀を振動させ音同士をぶつけて緩和狙いと同時に、喉目がけて突きだし声帯潰しも試みる。
上手く相手の機動力等を削ぐ事が出来たら、初手で膝を斬りつけ体勢崩しを狙い、振り抜いた勢いを利用して身体を回転させながら首狙いで二撃目を放つ。
自身が担当する個体撃破後は、他の仲間の受け持つ橋姫への援護に向かう。

◆戦闘後
周囲のマテリアルと親和・同調を試み、周囲に強い負のマテリアルの気配が感じられないか探ってみる


スキル適宜使用
メトロノーム・ソングライト(ka1267
エルフ|14才|女性|魔術師
○心情
色々ときな臭い噂は耳にしていましたけれど
来て早々にこんな状況に遭遇するなんて

平穏とは、かくも遠いものなのでしょうか……

○行動
クリスティアさんと共に、三条さんの護衛に就きますね

すぐにでも抑えに入られた方の支援を行った方が良いのでしょうけれど
怪我をしておられるのを放ってはおけませんので
一言ことわりを入れてから、ヒーリングポーションも用いて手早く応急手当を

「止水」と盾で守りをしっかりと固めつつ
主に【虎咆】を用いた遠距離攻撃支援を行います
攻撃対象は遊撃の花厳さんに合わせ、敵の数を速やかに減らしていく方針ですけれど
他に敵の攻撃をさばききれず押されている人がいたら
一時的にそちらへの支援を優先させます
その際は、行動阻害効果も期待してアイスボルトを使っていきますね

敵の雄叫びに対しては、カウンターマジックによる打消しを試みます
あのような酷い叫び声、聞くに堪えません
思わず「……黙りなさい」とか言ってしまいそうです

万が一、敵の接近を許してしまった時は、守りを優先
迎撃に気を散らさず、盾で攻撃を防ぎ、三条さんに近づけさせない事にのみ集中
時間さえ稼げばすぐに仲間が駆けつけてくれると信じています
これ以上は指一本……いえ、その爪の先も三条さんには触れさせません

○他
詩天ついては興味はありません
組織というものはどこもかしこも、このような話ばかり
わたしは極力、そういったしがらみとは関わりたくないのですけれどね……
フラメディア・イリジア(ka2604
ドワーフ|14才|女性|闘狩人
アドリブ歓迎

心情
さて、シン殿と顔を合わせるのはこれが初じゃが、まずはこやつらを何とかしてからかの?

行動
抑え班として行動
橋姫を押さえ後ろに抜けさせず、シン殿を傷つけさせないよう射線に入って立ち回る

自身は攻めの構えからチャージング、渾身撃とスキルを一気に繋げて最大威力での攻撃
早々に敵を撃破して他のメンバーが抑えている橋姫への援護へ行くようにする
「さあ、一気に倒させてもらおうか!征くぞ!」

敵の体の動かし方を注意して観察し、爪による攻撃を躱した後の隙に攻撃を叩きこむようにする
その際上手く隙を狙って腕や足を狙い動きを鈍らせて、頭など急所になりうる位置に攻撃を仕掛ける
また、雄叫びには気を付けて息をすきこむ動作など全長が見えたら喉に突きを入れ雄叫びの邪魔をするか、或いは腹に力を込めて行動阻害を耐えるように

自身に余裕があり、他のものに余裕がない際で、味方が行動不能などで橋姫を押さえきれなくなった際はフォロー入れ2体抑えられれば一時的に抑える
また、敵を1体でも倒して2対1の状況になった際は味方と連携波状攻撃を重ねより素早く敵を倒す

無事敵を倒し終えたらシン殿が話をしたいとのことだったのでそれを聞く
また、敵の動きが明らかに符術士だけでなくシン殿を狙っているようであればそこに敵の目的があることや成り立ちに関わる部分ですでに動きがあるのではないかと予想
「狙われておるんじゃから、あまり無理はするでないぞ?」
花厳 刹那(ka3984
人間(蒼)|16才|女性|疾影士
攻撃は最大の防御也、ってね。
真美ちゃんを護る為に追手と思しき歪虚を殲滅するわ。

今回の戦闘での立ち位置は遊撃。
真美ちゃんの護衛役を除くと殆どが歪虚と1対1の勝負となるので、遊撃の私は素早く援護を行い協力して歪虚を斃し、続いて援護した人と共に他の援護に行くことで、数的優位を絶対の物とするのが本命かしら。
この数的優位を早々に確立する為に、最初の援護はユーリちゃんやフラメディアちゃんと言った攻撃力に優れている人から優先的に援護するわね。

優先的に援護する人の下へ向かう時は【ランアウト】を使って移動距離を伸ばしつつ、その時に複数の敵を射程に捉えられるようならば【アサルトディスタンス】で攻撃をしておき、早期殲滅の一助ができればいいかしら。
手を出した歪虚と相対していた人の戦術を尊重して援護に回りつつも、私がここぞと言う機を見付けたら【飛燕】を使った居合の一閃で、歪虚の首を跳ね飛ばして決着を着けますね。

数的優位で歪虚を押し潰し、殲滅できたら依頼目的達成かな。
勿論、手応えに関係なく歪虚が完全に消滅するまで気を抜くわけにはいきませんけれども。

無事に終了したら、頑張った真美ちゃんはむぎゅっと抱きしめて撫で撫でしてあげます♪
何か言いたいことがあるのなら、撫で撫でが終わった後にちゃんと聞いてあげるけど…取り敢えず、手当とかが先になるからね?
三條 時澄(ka4759
人間(紅)|28才|男性|舞刀士
「よく耐えた。後は任せろ。」

「なるほど。血縁である以上、確かに利用価値は他の符術師を攫う以上のものがあるだろう。」
「だが、それゆえに見誤ったな。」

「己が為に血縁まで利用か…今の俺は殊更機嫌が悪い。生きて帰れると思うな。」

橋姫の1体に仕掛け、徹底して攻勢に出る。
初手から”納刀の構え、居合、電光石火”を使用して速攻。雄叫びを使われる前に仕留めるか、喉を潰すかを狙う。
特に狙うのは喉。切り裂ければよし、そうでなくても爪の攻撃をかわす際に刀の柄尻でカウンターを狙って強打。
「叫び声が鬱陶しいなら、声を出せなくしてしまえばいいだけのことだ。」
敵を切り捨てるのは何度も繰り返し、慣れた作業のように感慨無く。


「話は城でもいいか?ここよりも確実に安全だ。」
可能なら城へ。難しそうなら出来るだけ人通りが多い場所(往来の茶屋等)に移動。
話を聞く間、座らず壁などに寄りかかるだけにしていつでも動ける姿勢。

城で武徳など家臣が同席するようなら、シンの頭首としての立場を尊重して接する。(きちんとした敬語等)
家臣の同席が無かったり、シンが望むなら今まで通りに。
「秋寿派の者達には既に協力している者もいると考えるのが妥当だ。行方不明の者がいる家があれば、おそらくは」
「あの容姿はかなり目立つ。歪虚であろうこと、変装するという点を考慮してもこれだけ長期に渡って潜むというのは、協力者無しには難しいだろう。」

※アドリブ、台詞改変歓迎
シェルミア・クリスティア(ka5955
人間(蒼)|16才|女性|符術師
「詩天の話を聞いて来てみたら色々と深そうな事情がありそうだね。兎も角、先ずは目の前の脅威を追い払ってから、かな」

目的
真美の救出・敵の撃破と黒幕の挑発

方針
抑えの5人で1対1を構築、遊撃と護衛の援護で数的有利を作って1体ずつ確実に仕留める。
自分の担当は護衛兼後方からの援護

抑え組との距離を概ね7~8スクエア分の距離を開ける様に真美を連れて後退
その際に応急処置を施し包帯代わりにフリルリボンで傷口を縛る
「シンくん…だっけ。間に合わせの簡単な処置だけどしないよりはマシだと思うから、後でちゃんと診てもらってね」

戦闘は抑えのフォローに敵の行動阻害を狙う五色光符陣
攻撃支援に3体同時に直接ダメージを与えられる風雷陣を使用
一体でも多くの早期撃破を狙う
敵が抑えを抜けてくる際、または敵の離脱(真美を連れ去る)阻止の為に地縛符を
味方の動きを阻害しない位置に仕込む様に設置しておく

また真美にも護身を中心に戦闘経験を積んでもらう為に少しの戦闘支援を依頼
風雷陣での攻撃援護や抑えへ防御支援に桜幕符をと伝えてみる
「怖かったりすると思うけど、大丈夫。わたし達が居るから、やってみよう?」

※下記は可能であれば
橋姫達の一体をメッセンジャー代わりに使えるかどうか考える
言葉は話せない様なので手紙なり書簡なりでも持って行かせよう
まぁ『人攫いなんてするくらいなら話す気の有る無し問わず一度は顔を見せにくるんだね』って挑発するくらいだけど(
輝羽・零次(ka5974
人間(蒼)|17才|男性|格闘士
「俺はレイジ。輝羽・零次だ。よろしくな」
何がなんだかよくはわからないが油断せずにいこう

【目的】
真美を守りきる

【行動】
「向こうの狙いは誘拐か…」
狙いが何なのかはしらねえ。けど、どんな理由があっても小さな娘一人を傷つけ追いまわす理由にはならねえ
許す事はできねえぜっ!

五体の内、一体を相手取る
「お前の相手はこの俺だ!」

近づきながら牽制に『練気』を使用しての『気功波』を放つ
接近距離になったなら爪を掻い潜り、『鎧徹し』を使用して防御を食い破る
「尋常に勝負!・・・っていきたい所だけど、よ!」
倒すよりも通さない事を重視
相手取りながら叫びで動きが鈍ったらバックステップしながら耐え抜く
遊撃の刹那 (ka3984) のいる場所を確認し、そちらに移動する様に

自分と戦った敵を倒せたら、まずは真美の安否を気遣う
護衛がついているとはいえ、戦闘が目の前であれば注意はそちらにいくだろうしな
真美と護衛の仲間の死角になる箇所を注意し観察
何もなければ一番苦戦している仲間を援護にいって各個撃破を試みる

五体の歪虚以外にも来てる奴がいつかもしれないしな

万が一、真美へ敵の接近を許すことになったなら、全力で駆けつける
自分や仲間が妨害されるならそいつを『飛翔撃』で吹き飛ばす
間に合うなら身を盾にしても守る

特に倒したと思って油断した瞬間にこそ気を引き締める

何か言いたい様子だが、話はどこか安全な所にいってから聞いたほうがいいかもしれないな
ラース・フュラー(ka6332
エルフ|23才|女性|闘狩人
【心情】
「シンさんは…身分を抜きにして、友人ですからね。友を傷付けたというなら、容赦はできないわ」

【目的】
橋姫を倒すことではなく、シンさんを守りきること。
ここは履き違えないように気をつけないと……

【行動】
シンさんを直接護衛するのは他の仲間に任せ、橋姫の抑えに向かいます。
抑えに向かった人がそれぞれ別の橋姫を担当することを念頭に入れ、最初は他の抑え班と攻撃対象が被らないように。できるだけ1対1といきたいですが、そう都合よくはいかないでしょうね……
戦っている橋姫を倒すか、その橋姫が逃走を始めたら、追跡はせず、近くにいる別の橋姫へ。今回の目的は倒すことではなく守ること、相手が逃げるなら無理して追う必要はないでしょう。

戦闘の際は、基本的には近付いて妖剣「モルドゥール」で斬り合うのみ、ですね。
移動の必要が無い状況であれば『堅守』を心掛けつつ攻撃。
交戦中の橋姫に、後方にいるシンさん達の方へ抜けられそうになったなら、『チャージング』で追跡しつつ攻撃。

いずれの場合も、使い切るまでは攻撃の際は『強打』を使用、受ける際には 龍壁「ガータル・ゾア」を。



戦闘終了後、安全が確認できたら鎧を脱ぎ、テミス特製手ぬぐいで汗を拭きつつ、ミネラルウォーターで水分補給します。
===

アドリブは歓迎します。

リプレイ本文

「やっぱり舞い戻って来ましたね」
「シンさん……! 大丈夫ですか!?」
 三条 真美(kz0198)を追う橋姫の前に不敵な笑みを浮かべて立ち塞がるユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)。
 肩で息をする少年を、ラース・フュラー(ka6332)が慌てて受け止める。
 突然現れたハンター達を見定めるように距離を取る橋姫に、輝羽・零次(ka5974)が射貫くような鋭い眼光を向ける。
「何だ? こいつら。歪虚のくせに誘拐か……?」
「どうでしょうね。この子を狙っていることなのは確かなようですけど」
「こんなちびっこ追い回すなんざ、どっちにしろ許容はできねーな」
「同感じゃ。ともあれ、まずはこやつらを何とかしてからかの」
 歪虚から目線を外さず言う花厳 刹那(ka3984)に、頷く零次とフラメディア・イリジア(ka2604)。
 三條 時澄(ka4759)は、真美の腕の傷を見て……端正な顔が般若面のように鋭く尖る。
「シン、よく耐えた。後は任せろ。……すまんが、この子を頼む」
「承りました。まずは手当てをしましょうね」
「私も手伝うよ!」
「待ってください。私も戦わないと……!」
「支援も勿論大事ですが、怪我をしておられるのを放ってはおけませんよ」
「そうよ。戦う気があるのならなおのこと備えなきゃ!」
 頷き、鞄から薬を取り出すメトロノーム・ソングライト(ka1267)。
 前に出ようとする真美を、シェルミア・クリスティア(ka5955)が問答無用とばかりに連れて行き――。


 ――あの時現れた歪虚に間違いないわね。……といっても別個体かしら。私が腕を斬り落とした奴はいないみたいだし。
 とはいえ、仲間を連れて戻ってきたのならある意味狙い通りね……。
「手筈通り行きましょう!」
「さあ、一気に倒させてもらおうか! 征くぞ!」
「了解しました。援護します」
 そんなことを考えながら抜刀し、先頭に立つ橋姫に狙いを定めるユーリ。
 走り出したフラメディアに合わせて、刹那も歪虚を囲い込む。
「ちょっと染みるかもしれませんけど、我慢してくださいね」
 その後方。確認しつつ、テキパキとヒーリングポーションで真美の抉られた腕の手当てをするメトロノーム。
 シェルミアが出してきたのは愛らしいフリルリボン。それで己の傷を押さえようとしているのを見て、少年が慌てる。
「あの、折角のリボンに血がついてしまいますから……!」
「いいの! 気にしないで! 間に合わせの簡単な処置だけどしないよりはマシだと思うから、後でちゃんと診てもらってね」
「……すみません。ありがとうございます」
「いいえ。当たり前のことをしただけですよ。……動けますか?」
「はい」
「じゃあわたし達も行こう。皆頑張ってるみたい……というか、一部怖いし」
 メトロノームの穏やかな声にこくりと頷く真美。
 シェルミアの目線の先には、仲間達をすり抜けてこちらに向かおうとしている橋姫と、剣呑な雰囲気を漂わせる時澄とラースの姿があった。
「……今の俺は殊更機嫌が悪い。生きて帰れると思うな」
「ええ。友を傷付けたというなら、容赦はできないわ。覚悟なさい!」
 ――歪虚はここで全て食い止める。
 そんな気迫を感じる2人。
 2体はユーリとフラメディアが引きつけている。が、残りが一気に押し寄せる……!
 1体づつ引きつける時澄とラース。
 残りの1体がすり抜けようとしたところを、零次が横から殴りつけた。
「そうはさせるかよ! お前の相手はこの俺だ!!」
 零次の叫び。歪虚の身体にめり込む拳。
 感じた手ごたえ。飛翔撃を間違いなく当てたはずなのに、さほど吹き飛んでいない。
 ――こいつ、強ぇな!
 彼がそう思った途端。橋姫からこの世のものとは思えない絶叫が上がる。
「な、なにこの声……!」
「うんざりする煩さじゃな……!」
 思わず耳を押さえたくなる声に顔を顰めるユーリ。
 ぐっと堪えて、フラメディアが巨大な斧で橋姫の爪を何とか受け止める。
 重い一撃。何とか弾き返したが、身体が傾ぎそうだ。
 現状は1対1を保ち、戦況は均衡している。
 遊撃として動き回っている刹那もまた酷い顔をしていた。
 今のところ酷い行動阻害を受けているものはいないようだが、この絶叫が続けばどうなるか分からない。
 一刻も早く、このけたたましい叫びを何とかしなければ……。
 刀を収めたまま、距離を詰める時澄。
 閃く刀。素早く踏み出し、敵の逃げ道を断ちながら与えた一撃は、橋姫の喉を一文字に切り裂く――!
「……叫び声が鬱陶しいなら、声を出せなくしてしまえばいいだけのことだ」
「うわ。時澄さんえげつない……!」
「俺は今機嫌が悪いと言っただろう」
「そうでした。でもそれ正解です!」
 苦笑するラース。
 喉を切られ、橋姫は悲鳴をあげることも出来ずに腕を滅茶苦茶に振り回す。
「……手負いの獣とは良く言ったものじゃな。ああいう状態が一番危険じゃ。気を抜くな!」
「分かっている」
 フラメディアの鋭い声に頷く時澄。
 1体でも沈めてしまえば均衡は崩れる。そうなればこちらのものだ……!
 そして、メトロノームは聞くに堪えない叫び声に可愛らしい顔を歪めていた。
 叫び声は魔法によるものではないらしく、カウンターマジックが効かない。
 それゆえにイライラも急上昇である。
「……黙りなさい!」
 思わず出た呟き。彼女の歌に喚び出され、傍に控える雷纏う双角虎。そこから放たれる白雷は真っ直ぐに橋姫に伸びて……。
「――ァア!」
 橋姫の絶叫ではない、短い叫び。
「貰いました……!」
 その隙を逃さず、風のように疾る刹那。横に薙ぐ剣。すれ違いざまに歪虚を切り裂く。
「ユーリさん! お願いします!」
「任せて! 今回は狩らせてもらうわよ! あんた達のご主人様を引きずりだす為にね……!」
 刹那の声に応えるように踏み込むユーリ。同時に身体を落とし、その反動で一閃する――!
 崩れ落ちる橋姫。
 時を同じくして、フラメディアの渾身の一撃が、歪虚を肩からばっさりと両断。
 2体目の橋姫が悲鳴をあげて消えていく。
「さすが! 支援の必要なかったですね!」
「そうでもないぞ、刹那殿。歪虚はまだ残っておる……!」
「行かせるものですか! これ以上シンさんは傷つけさせない……!」
「妙な声あげやがってうるせえんだよ!」
 均衡が崩れ、ハンター優勢となった戦況。
 刹那とフラメディアの目線の先では、真っ直ぐに真美を目指す歪虚と、足止めをしようと食らいつくラースと零次の熾烈な争いが繰り広げられていた。
「ラースさん達が……!」
「うん、助けないとね。怖かったりすると思うけど、大丈夫。わたし達が居るから、やってみよう?」
「はい……!」
「落ち着いてやれば大丈夫。符に力を込めて……」
 シェルミアの声に頷く真美。
 ――初めて戦った時もそうだった。
 ハンター達が支えてくれて……今もこうして守ってくれようとしている。
 私はそれに、応えなければ――!
 真美とシェルミアから放たれる符。
 橋姫の視界を桜の花びらが覆い、咆哮をあげようとした橋姫。
 そこに、シェルミアが張った結界が発動し、眩い光が歪虚を焼く。
「うおおおおお!!」
「迷わずに逝きなさい……!!」
 そこに決まる零次の一撃。吹き飛んだ橋姫は避けることも叶わず、ラースの剣に真っ二つにされて消えていく。
「シン! 怪我はねえか!?」
「はい! 大丈夫です!」
「いい返事だ!」
 真美の声にニヤリと笑う零次。
 その短い間。風を切る音。閃く刀。
「消えろ……!」
「相手が悪かったですね。さようなら」
 時澄と刹那の一閃が叩き込まれて……4体目の橋姫が崩れ落ちて、消えた。
「……勝負あった。これ以上やっても無駄じゃ。去ね!」
「死にたいなら相手をしてやってもいいがな」
「私達はそれでも構わないですよ?」
 残った橋姫を睨みつけるフラメディア。
 既に最後の1体。満身創痍で、戦うことは出来まい……。
 凄む時澄と刹那。
 目的は果たせぬと覚ったか、歪虚はじりじりと後退を始める。
「帰るの? じゃああんたのご主人に伝えなさい。……隠れても無駄よ、必ず見つけ出すってね」
「あー! 待って! これ持ってって!」
「シェルミアさん、それ何です?」
「えへへ。わたしも犯人さんに伝言頼もうと思って」
「あらあら。大丈夫ですか? それ……」
 走り去る橋姫に声をかけるユーリ。シェルミアは慌てて手紙を押し付ける。
 その背を見送りつつ、メトロノームは冷や汗を流した。


 橋姫達を撃退したハンター達は、真美の希望で城には戻らず茶屋に移り、一室を貸し切って顔を突き合わせていた。
「周囲を探ってきたけど、橋姫らしき姿は見えねえ。あいつら以外はいないようだな」
「そうか。……シン、怪我の具合はどうだ」
「大丈夫です。時澄兄様もご無事で良かったです」
「あら。時澄さん、いつの間にシンさんのお兄さんになったんです?」
「ああ、先日な」
 戻って来た零次に頷く時澄。彼の言葉に、真美は素直に頷く。
 その様子に目を丸くしていたラースは、思い出したように少年に向き直る。
「シンさん、私達に話したいことがあるそうですね」
「はい。この詩天の国の成り立ちについて……。あと、巫女と符術師が消えている理由について、皆様にお話ししないといけません」
「ほう。誘拐事件の理由が分かったのじゃな?」
「憶測でしかありませんが……」
 目を見開くフラメディアにこくりと頷く真美。零次が恐る恐る口を開く。
「……あのさ。それって難しい話か?」
「聞かなければ先には進めないことは確かですね」
 難しい話は苦手だとボヤく零次にピシャリと言い返すユーリ。
 彼女に目線で促されて、真美はゆっくりと語り出す。
「……この詩天は、かつて『死天』と呼ばれ忌み嫌われていました。理由は、龍脈から力を取り出して様々な物に転用した陰陽師がいたからなのですが……」
「ん? ちょっと待って。龍脈の力を使うのは別に間違いじゃないよね。だって、天ノ都だって黒龍と龍脈の力を使って守ってたんだから」
「それは、まさに正しく……『正のマテリアル』の力として使われていたからですね」
 そう。エトファリカの天ノ都。そこでスメラギは御柱として黒龍と龍脈の力を使っていた。
 それ自体は禁忌ではないはずなのに――。
 シェルミアの問いに、真美は悲しげに眉根を寄せて……メトロノームは察したように息を飲む。
「その陰陽師は龍脈の力を正しく使わなかった……そういうことですね……?」
「そうです。初代詩天は龍脈の力を『負のマテリアル』に変換して、利用したんです」
「……それで、この国は『死を齎すものが住まう土地』と呼ばれたのか」
 時澄の呟きに真美は目を伏せたまま続ける。
「最初は、正しく……歪虚から国を守る為に編み出した技術だったと聞いています。強い力を持つ兵器は近隣諸国からも持て囃されたそうです。それは国を豊かにし、国の祖を作り上げるまでになりました」
 そして、初代詩天はその研究に傾倒し、更に強力な兵器を作り上げようとした。
 その果てに、ヒトが手を出してはいけないところまで到達してしまった……。
「……それが『死転の儀式』。龍脈に流れる力を負のマテリアルに変換する儀式です。具体的にどういったことが出来るのかまでは伝承では伏せられていましたが、巫女、もしくは符術師の力を必要とするとありました」
「巫女や符術師達が消えているのも、その『死転の儀式』の為と考えられる訳ですね……」
「橋姫とかもその力を使って生み出したのかな」
 何てこと、と首を振るメトロノームにうーんと考え込むシェルミア。それまで黙っていた零次が口を開く。
「なあ。その敵の大将は、巫女や符術師を大量に集めてんだよな? ……それで一体、何しようってんだ?」
「その行動に出るということは、主犯……秋寿さんでしたっけ。その人にはその儀式について知識があるんですよね。そこも気になりますね……」
「そこは私にも分かりません。どうやって秋寿兄様が『死転の儀式』について知ったのか。歴代の詩天達は過ちを繰り返さぬ為に、詳細は敢えて遺さなかった筈なのに……」
 刹那の呟きに、ため息をつく真美。
 出ない答えに続く沈黙。
 それを破ったのはフラメディアだった。
「そもそも犯人は『秋寿』ではない何者か、という可能性はないのかえ?」
「……私もそれは考えていました。秋寿さんは千石原の乱で亡くなられて……利用されているのではないかと」
 躊躇いがちに言うラース。
 真美は、秋寿の生存に希望を抱いている。
 それを打ち砕くようなことを言いたくはなかったけれど、でも……。
 『秋寿』が『秋寿』ではない、というのなら。雰囲気が変わったというのも説明がつく。
「秋寿が歪虚であろうが、生きた人間であろうが……秋寿派の者達には既に協力している者もいると考えるのが妥当だ。あの容姿はかなり目立つ。ここまで長期に潜むというのは、協力者無しには難しいだろう」
「うむ。その儀式とやらを成す為に、今後もシン殿が狙われる可能性が高いじゃろうな」
 気遣いながらも断言した時澄とフラメディアに、真美はそうですね……と小さく頷く。
 その表情は、どこか思いつめていて……。
「……シンさん。念のために初代詩天の名をお伺いしてもいいですか?」
「はい。初代の詩天は三条 仙秋と言います」
「さんじょう、せんしゅう……」
 その名を噛み締めるように繰り返すユーリ。その横でメトロノームが顔を曇らせる。
「お家騒動の果てに……ですか。組織というものはどこもかしこも、このような話ばかりですわね」
「うーん。皆好きでそうなってる訳じゃないと思うけど……色々な人が絡むと難しいよね」
「そうですね……。私は詩天の血を引くものとしての責任があります。民の安寧を守る義務もあ……」
 肩を竦めるシェルミアに頷く少年。刹那に抱き寄せられて言葉が続かない。
「シンちゃん、今日は良く頑張りました! 頑張る子はお姉さん大好きよ!」
「わ、ぷ……!」
「刹那さん、胸でシンさんが窒息しちゃいますよ……! シンさん、色々お話しして下さってありがとうございました。困ったことがあったらいつでも呼んでください」
「うん。お姉さんも協力しますよ!」
「おう。良く分かんねーけど、ちびっこを狙うのはロクなもんじゃねーからな。ぶっ飛ばす!」
「いいか、くれぐれも一人になるんじゃないぞ」
「うむ。あまり無理はするでないぞ?」
 優しいラースと刹那の声と、元気が有り余る零次の声。
 心配そうな時澄とフラメディアに、少年はようやく笑顔を見せた。


 橋姫を撃退し、死天の意味を知ったハンター達。
 道中を心配した彼らに送られて城に戻った真美は、暫くしてとある人物から手紙を受け取り――。
 事件は、一気に動き始める。

依頼結果

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MVP一覧

  • 洞察せし燃える瞳
    フラメディア・イリジアka2604
  • 誘引せし桜花
    花厳 刹那ka3984

重体一覧

参加者一覧

  • 龍奏の蒼姫
    ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239
    エルフ|15才|女性|闘狩人
  • 青水晶の紡ぎ手
    メトロノーム・ソングライト(ka1267
    エルフ|14才|女性|魔術師
  • 洞察せし燃える瞳
    フラメディア・イリジア(ka2604
    ドワーフ|14才|女性|闘狩人
  • 誘引せし桜花
    花厳 刹那(ka3984
    人間(蒼)|16才|女性|疾影士
  • 九代目詩天の信拠
    三條 時澄(ka4759
    人間(紅)|28才|男性|舞刀士
  • 詩天の伝承を知る者
    シェルミア・クリスティア(ka5955
    人間(蒼)|16才|女性|符術師
  • 羽を授く
    輝羽・零次(ka5974
    人間(蒼)|17才|男性|格闘士
  • 真実を求める翠瞳
    ラース・フュラー(ka6332
    エルフ|23才|女性|闘狩人

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/09/12 01:31:35
アイコン 真美を守る為に相談
シェルミア・クリスティア(ka5955
人間(リアルブルー)|16才|女性|符術師(カードマスター)
最終発言
2016/09/14 10:24:28
アイコン 質問卓
シェルミア・クリスティア(ka5955
人間(リアルブルー)|16才|女性|符術師(カードマスター)
最終発言
2016/09/14 19:59:33