小池都政 議会も目を覚ます時だ
小池百合子東京都知事が就任して初めての都議会が開会した。小池氏は所信表明で焦点の豊洲市場問題について「都政は信頼を失った」と指摘し、責任の所在の明確化など実態解明に取り組む姿勢を示した。
就任2カ月足らずだが、小池流の改革は一定の成果を上げている。「都議会と知事、職員がなれ合いや根回しで収める」と批判したような体質が不透明な行政の温床になってきたのではないか。議会も意識を改めるべきだ。
所信の冒頭から小池氏は築地市場の豊洲移転問題を取り上げた。
知事選で都議会自民党を厳しく批判していた小池氏は、議会に根回しせず移転延期を決めた。都議会自民党は猛反発したため、当初は議会側との激しい攻防が予想されていた。
ところが、豊洲の主要な建物に土壌汚染対策の「盛り土」がなかったことが発覚し、様相は一変した。豊洲問題は、どこで誰が何を決めたかすら判然としない深刻さをみせている。多くの会派が調査に乗り出したのは当然である。
都議会は豊洲問題をテーマとする集中審議を予定している。とりわけ、共産党都議団は地方自治法に基づき、議会が強制的に調査を進められる「百条委員会」の設置を求めている。本当に問題を重視しているのであれば同委を設置し、当時の責任者である石原慎太郎元知事らの招致を実施すべきだろう。
本来、議会は問題点をもっと早く指摘すべきだった。豊洲移転を最終的に決める条例は3月に可決された。だが、安全性をめぐる議論が尽くされた形跡はほとんどない。
そもそも、都が移転期日を11月7日とする方針を発表したのはこの条例を可決する半年以上前の昨年7月だった。都庁幹部が都議会の重鎮に根回しをし、審議と無関係に物事を決める手法が常態化していたのではないか。
就任以来、小池氏は新設した「都政改革本部」に外部の識者を加え、情報公開とコスト見直しを旗印に「築地市場移転」「五輪開催費」の2大課題の点検を進めている。
トップダウン方式には庁内に反発がある。それでも、都政に構造的な問題があることを浮き彫りにした。
東京都議には全国でも最高クラスの年間約1700万円の報酬に加え、月額60万円の政務活動費が支給されている。豊洲問題のこれまでの経緯を見る限り、それに見合う仕事をしてきたかは疑問である。
首長と議会が住民から直接選ばれる二元代表制は双方が車の両輪として競争、協調してこそ機能する。都議会は建設的な議論で知事と政策を競う原点に立ち返る必要がある。