うちは、基本的に精神科領域にかかる救急は、一般対象なので
あまりうけることが ないのですが、それでも受け入れ病院がない~。
と、救急隊に 泣きつかれて「入院が必要な場合は、転送先は探してください」
という条件で処置のために受け入れることがあります。
大概、リストカットや急性薬物中毒などが大半。
中には、急性薬物中毒とリストカットの複合技で来られる場合も
ありますが・・・・
同じ急性薬物中毒でも、内服した錠数が少ない、中身がはっきりしている。
内服から搬送までに時間が経過していない。ので胃洗浄と活性炭注入の処置後
意識レベルが上がって保護者とともに帰宅可能そうだね。
というパターンなら、そのままうちで経過観察して、意識クリアーに
なった時点でご帰宅いただくのですが、いちばん最悪なのは
薬剤服用の常習で内服から時間が経っての搬送、胃洗浄・他処置をしても
意識がまったくもどらない (ある程度、薬品成分が体に吸収されてるから)
でも、呼吸器つけたり、透析したり。という処置はいらない。
覚醒するのを待つだけのため、入院経過観察が必要だけど・・・
付き添いはいるけど、知人・友人という血縁・婚姻関係でないため、
保護者としては不適切、もしくはまったく付き添いがいない。
というパターン。
(で、付き添いいないのに、どうやって救急搬送されたか?
と言いますと、大概こういう方は救急依頼もしくは家人・知人に
薬飲みました。今から飲みますコールをしてから薬剤を内服と
言うことが多い)
先に書いた条件があるために、救急隊、必死で転送受け入れ病院を
あたりますが、精神科入院病棟を持つ病院ですら、スタッフが
手薄になる夜間は対処が難しいのでしょう。(診療費踏み倒しや
レベルがクリアになった時の同室者とのトラブルなどが多い)
無論、精神科救急で入院受け入れが可能。という施設が少ないのに、
ニーズは多い。ということが大きいのですが
いろんな理由で受け入れ困難であることが、しばしば・・・
うちに救急搬送してきた救急隊は、自分たちの職務をまっとう
しているだけ。それはこちらも承知なんですが、それでも、立場上
彼らに転送先を探すことを強要せざるおえません。
延々、電話でのやりとりが続き、救急隊、そして私達ERスタッフ
の拘束時間が、ただ、寝てる人。のために費やされ、限界MAXに
達したころ、結局、こちらが折れて入院を受け入れる。
ということになるんですが・・・
正直な話、病棟のベッドに余裕がある・・・状態なら
さほど神経尖らせないんですが、ベッドに余裕がない状態の時は
この入院を受けてしまったがため、本来、うちの病院が受け入れるべき
重症患者の受け入れを、入院ベッドがない。という理由で出来なくなる
こともあるわけで・・・
死にたい。と、薬を飲んだ人を助けて、全然死にたくもないのに、
いきなり命に関わる、でも、うちの病院のスタッフなら確実に
レスキューできる人(症例)をお断りするのか~。
と、矛盾をDrと抱えることになるのです(TT)
無論、これはそれぞれ都道府県・地域による格差。ということも
あるのですが、大阪は精神科救急に関しては、手続き上ややこしい
システムになっていて、しかも、精神科医療に関して、
かなり立ち遅れているので、それも受け入れ困難の
一助になってる模様。
これは、うちの病院に限ったことではなくて、2次救急~3次救急に
関わっている病院なら、大なり小なり同じような悩みや矛盾を感じながら
現場の職員さんは、がんばっているんだと思います。
それでも、現場の状況を調べもせずに、安易に「救急受け入れ拒否」
やら「たらいまわし」などと報道される日々。
医療崩壊、救急崩壊を憂えるのなら、しっかり現場を伝えて下さい。
マスコミのみなさん。
「事件は会議室でおきてるんじゃない!現場でおきてるんだ」
・・・・・・踊る大走査線 青島刑事の言葉は、どんな現場にも
当てはまる言葉です。