連続テレビ小説 とと姉ちゃん(153)「花山、常子に礼を言う」 2016.09.28


(花山の声)その戦争は昭和十六年に始まり昭和二十年に終わりました。
それは言語に絶する暮しでした。
あの忌わしくて虚しかった戦争の頃の「暮し」の記録を私たちは残したいのです。
あの頃まだ生まれていなかった人たちに戦争を知ってもらいたくて貧しい一冊を残したいのです。
もう二度と戦争をしない世の中にしていくために。
もう二度とだまされないように。
ペンをとり私たちの元へお届けください。
読者からの戦争体験談を募集してふたつきがたった頃…
(常子)おはようございます。
(一同)おはようございます。
(島倉)常子さ〜ん!はい。
(島倉)大変です!どうしたんですか?島倉さん。
もういいから来て下さい。
早く!花山さん!おはよう。
おはようございます。
(水田)どうしてここに?ここが私の仕事場だからだ。
(美子)病院は?一時退院の許可は出た。
でしたらご自宅に戻って下さい。
何を言っている。
そろそろ読者からの原稿が届いた頃だろ。
見せてくれ。
仕事がしたいんだ。
駄目です。
早くご自宅に…。
大丈夫だ。
何の問題もない。
でもお体が…。
いいんだそんな事は!いい加減になさって下さい!ご家族も社員もみんな心の底から心配している事をもっと真摯に受け止めて下さい!花山さんのお体は花山さんだけのものではないんです!部下を信じて任せる事も上に立つ者の立派な責任なんじゃありませんか?はぁ…分かった!でしたらご自宅に戻って頂けるんですね?花山さん。
もう…。
水田さんタクシー。
はい。
よっちゃん。
はい。
島倉さん。
たまき。
(たまき)はい。
・「普段から」・「メイクしない君が」・「薄化粧した朝」・「始まりと終わりの狭間で」・「忘れぬ約束した」・「花束を君に贈ろう」・「愛しい人愛しい人」・「どんな言葉並べても」・「真実にはならないから」・「今日は贈ろう」・「涙色の花束を君に」・「涙色の花束を君に」読者から募集した戦争体験談です。
これが全てか。
いえ。
箱いっぱいにあと十ほどは。
よっ。
うんっ。
「疎開した娘の千鶴に会い私はお手玉を5つその千鶴の手に握らせました。
久しぶりに会ったあの元気な千鶴はそれこそ骨と皮ばかりに痩せこけていました。
娘がそんな姿になっているのを見て私は涙が止まりませんでした」。
どれもあのころの風景がよみがえるような胸が締めつけられる文章ばかりでした。
編集会議の内容はもちろんお伝えしますし全ての原稿はお宅にお持ちして最終確認はこれまでどおり花山さんにお願いするつもりです。
うちに来るなんて君たちが大変じゃないか。
平気です。
花山さんが納得されるまで何度でもご自宅と会社を往復する覚悟です。
(花山)そうか…。
それにしてもよくこれだけ集まったものだ。
できればここにある全部を雑誌に載せたいくらいだな。
(扇田)アハハ!だったらそうしましょう。
思い切って2世紀第32号をまるまる1冊戦争の記事だけで作るのはいかがですか?
(水田)読者の皆さんが送って下さった戦争体験がこれだけあればできますよね。
「あなたの暮し」まるまる1冊一つのテーマだけで作るなんて今までやった事ないわね。
(扇田)俺読みてえです。
(島倉)しかし…戦争特集なんて「あなたの暮し」らしくないんじゃないでしょうか?もちろんそれは分かっている。
読者からの反発の声もあるかもしれない。
それでもこれは価値のある事だと私は思うよ。
はい。
はい。
はい。
はい。
はい。

常子たちは戦争特集号の編集作業に今まで以上に没頭しました
送られてきた戦争体験談を一つ一つ丁寧に確認するとともに写真などの資料を集め当時を知らない人々にも伝わるように記事を作っていったのです
しかし花山は体調を崩す事が多くなり入退院を繰り返すようになっていました
(ノック)・
(花山)どうぞ。
こんにちは。
お〜珍しいね。
今日は美子さん一人か。
はい。
とと姉ちゃんは花山さんに言われた資料を集めてます。
うん。
校正お願いします。
ああ。
私の前に誰か目を通したのか?はい。
とと姉ちゃんが執筆も推敲も編集もいつも以上に念入りにと皆さんに言ってるんです。
校正をする花山さんの負担を少しでも減らすために。
ほう…。
フフフ。
その原稿は問題なさそうですね。
いや駄目だ駄目だ。
えっ?書き出しはなかなかだったが展開力が乏しい。
まだまだ私の校正なしで掲載は無理だな。
フフフ。

(鞠子)とと姉いい?はいはい。
あっ。
お茶どうぞ。
ありがとう鞠ちゃん。
昔もあったわね。
ん?とと姉が花山さんの代わりをした事。
ああ…広告を載せようとして花山さんを怒らせてしまった時ね。
あの時よりはだいぶ慣れたけどやっぱり花山さんの代わりは大変ね。
私にできる事があったら何でも言ってね。
ん?今となっては雑用くらいしかできないだろうけどとと姉何でも自分でやろうと無理し過ぎるから遠慮せずに言って。
分かった。
ありがとう。
何のお話?あっお帰りなさい。
お帰りなさい。
ただいま。
花山さんご様子どうだった?うん…今日もあんまりよさそうではなかったけどでもね原稿の校正をし始めたらみるみる生き生きした表情に変わっていって。
そう。
それで…。
これが例文の答えを書きなさいって。
でこっちが比較対象を西洋ザルにとご指摘が。
でこれが…。
あ〜もうこっちなんて真っ赤じゃない。
お元気そうで安心したわ。
フフフフ。
フフフフ。
鞠ちゃん。
早速お願いしてもいいかしら?えっ?この資料の中から西洋ザルに関する部分を抜粋してもらえる?承りました。
私もこっちやっちゃうね。
うん。
ありがとう。

ふたつきがたち8月15日戦争中の暮らしを特集した最新号は発売されました
(警報の音)
(爆撃音)
(玉音放送)「堪え難きを堪え忍び難きを忍び以て万世の為に太平を開かむと欲す。
朕は茲に国体を護持し…」。

(本木)みんな手際よくやで。
(一同)はい。
(扇田)よいしょ。
はい増刷分。
(寿美子)住所は以前頂いているご住所に…。
それではお届けしますね。
敬信堂とまるくに屋と遠洲書店の担当者さんに連絡してもらえる?最速だと来月の半ばには納入できますって。
はい。
(水田)常子さん。
はい。
近郊の書店100軒回ってきましたが全てで売り切れです。
そうですか。
では早速増刷してもらいましょう。
随分と落ち着いていますね。
いつもなら跳びはねて喜ぶのに。
ん〜…今号に関しては正直受け入れて頂けるか不安もあったので喜びというよりは安堵の方が大きくて。
僕もです。
私も。
(たまき)常子さん。
ん?今読者の方から「これこそ後世に残したい雑誌だ」なんてお声が。
お〜。
それこそ花山さんが望んだ事よね。
「我々の雑誌は使い捨てにしたくない」ってずっとおっしゃってらしたから。
そうね。
落ち着いたら後で花山さんにお伝えしに行きましょう。
フフフ。
ええ。
続きやっちゃいましょう。
はい。
はい。
お願いね。
はい。
戦争特集号は過去のどの号よりも早く売り切れる事となりついに「あなたの暮し」は100万部を超える発行部数を達成したのです
2016/09/28(水) 08:00〜08:15
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 とと姉ちゃん(153)「花山、常子に礼を言う」[解][字][デ]

常子(高畑充希)は、花山(唐沢寿明)を叱りつけ、納得いくまで会社と自宅を往復する覚悟だと伝える。感銘を受けた花山は、読者の戦争体験を一冊にまとめてはと提案する。

詳細情報
番組内容
「いい加減になさってください!」。常子(高畑充希)は、体調の悪い中取材を続けようとする花山(唐沢寿明)を叱りつける。家族も社員も心配しているのだから、もっと真摯に受け止めるべきだと言葉を重ね、自宅で作業をするように命じる。読者から来た数々の戦争体験の手紙を見せ、花山が納得するまで会社と自宅を往復する覚悟だと伝える。感銘を受けた花山は、読者から来たものをすべてまとめ、一冊の本にすることを提案する。
出演者
【出演】高畑充希,相楽樹,杉咲花,伊藤淳史,唐沢寿明,吉本実憂,【語り】檀ふみ
原作・脚本
【作】西田征史
音楽
【音楽】遠藤浩二

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語(解説)
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