(水田)4日も留守だと書類もたまってきますね。
(常子)そうですね。
帰っていらしたらバリバリ働いて頂かないと。
(美子)花山さん今日戻られるんでしょ?うんそのはずなんだけど…。
(島倉)常子さん。
常子さん!はい。
どうしたの?そんな大きい声出して。
花山さんの奥様から。
花山さんが東京駅で倒れたそうです。
もしもし。
・「普段から」・「メイクしない君が」・「薄化粧した朝」・「始まりと終わりの狭間で」・「忘れぬ約束した」・「花束を君に贈ろう」・「愛しい人愛しい人」・「どんな言葉並べても」・「真実にはならないから」・「今日は贈ろう」・「涙色の花束を君に」・「涙色の花束を君に」
(ノック)常子です。
・
(三枝子)どうぞ。
失礼します。
(花山)やあお二人さん。
(三枝子)常子さん美子さんこの度はお騒がせ致しました。
あ…あの…。
花山さんあの…お体は?問題ない。
落ち着いてるよ。
ごめんなさい。
電話をした時は私も動転してしまっていて…。
容体も分かっていなかったものですから。
(花山)倒れたなんて大げさなんだ。
例の…あ〜!例の胸のあれでね少し苦しくなったから腰を下ろしただけだ。
本当に平気なんですか?ああこのとおりさ。
はぁ…。
もう心配かけないで下さいよ。
みんな病院に駆けつけるって言って大変だったんですから。
それはすまなかった。
(茜)だから止めたのよ。
それなのに無理して広島に向かうから。
ああ。
そんなに急ぎの原稿があるんですか?いや私たちは取材の事は何も…。
戦争中のね人々の暮らしの記録を記事にしたいんだ。
戦争…。
(花山)ただの戦争の記録じゃない。
名もない市井の人々がどのような暮らしをしていたのか戦争の記録を残したいんだ。
歴史的な大きな事件ではなくあの戦争の中での日々を残しておこうと。
いつからそんな事を?以前から探していたんだよ。
「あなたの暮し」がこれからの世に提案すべきものは何なのか。
それが戦時中の暮らしの記録ですか?ああ。
これからは世の中から忘れ去られないように訴えていくのもこの雑誌の役割だと思ってね。
あの戦争は我々庶民の暮らしをメチャクチャにした。
戦争の経過などは正確な記録が残されているがあの戦争の間ただ黙々と歯を食いしばって生きてきた人たちが何を食べ何を着てどんなふうに暮らしていたか。
それについて具体的な事はほとんど残されていない。
それを残したいんだ。
私は終戦を迎えたあの日以来ずっと考えていた。
もし一人一人が自分の暮らしを大切にしていたらもし守らねばならない幸せな家族との豊かな暮らしがあったならあの戦争は起きなかったのではないかとね。
二度と戦争が起きぬようにあの戦争に関わってしまった人間として戦後生まれの人にもきちんと伝えたいんだ。
それで広島へ…。
ああ。
だが思うようにはいかなかった。
つらい記憶だ。
皆口が重くてね。
戦争中の事は話したがらない。
今更蒸し返してほしくないとも言われた。
では取材は失敗ですか?また行くさ。
来週にでも。
来週?1週間もあれば退院できるだろう。
退院できたからといって病気が治った訳ではないんですよ。
治るまで待ってはおれん。
でしたら花山さんの代わりに私が。
駄目だ!従軍経験がある私でなくてはできん!じかに人々の声を聞いて記事にしてみたいんだよ!
(茜)いい加減にしてよお父さん!こんなに皆さんが心配して下さってるのにどうして分からないの?お父さんはもう年なのよ。
お仕事よりもお体をもっと大事にして。
(三枝子)私も茜に賛成です。
もし今度倒れたらと思うと私も生きた心地はしません。
お願いします。
どうかお考え直し下さい。
死んでも構わん。
私は死ぬ瞬間まで編集者でありたい。
その瞬間まで取材し写真を撮り原稿を書き校正のペンで指を赤く汚している現役の編集者でありたいんだ!常子さん。
君なら分かるだろう!私は…取材に賛成する事はできません。
奥様や茜さんが反対してらっしゃるのに認める訳にはいきません。
常子さんありがとうございます。
ありがとうございます。
いえ…。
(鞠子)それで花山さんは納得したの?多分ね…。
それっきり黙ったままだったから…。
そう…。
お医者さんは何と?もちろん安静ですよ。
たとえ1週間で退院できたとしてもすぐに仕事やましてや広島に出かけるなんてとても許可できないって。
(たまき)それでも花山さんは取材なさりたいでしょうね…。
あっごめんなさい。
とと姉はまだ迷ってるのね。
うん?本当に止めてよかったのか。
うん…。
奥様と茜さんのお気持ちを考えるととても許可なんてできないわよね。
私は今日の花山さんのお姿を見ただけでもうそれだけでうなずけなかった。
最近は昔じゃ考えられないような老け込みようですからね。
回想私は死ぬ瞬間まで編集者でありたい。
その瞬間まで取材し写真を撮り原稿を書き校正のペンで指を赤く汚している現役の編集者でありたいんだ!私が勝手に抜け出さないか見張りに来たのか。
そんな…。
違いますよ。
(茜)せっかくお見舞いに来て下さったのに。
お花とてもきれい。
ありがとうございます。
いえ。
怒ったりしたら駄目ですよ。
血圧また上がりますから。
(茜三枝子)ありがとうございました。
花山さん。
取材をなさりたいという気持ちにお変わりはありませんか?もちろんだよ。
あれからいろいろ考えたんですがやはり花山さんがなさろうとしている企画は続けるべきだと思うんです。
(茜)待って下さい。
父は仕事ができる状態じゃ…。
ええですからこれ以上の取材を認める事はできません。
どういう事だ?取材しなければ戦争体験者の声を集められんだろう。
「あなたの暮し」で戦時中の暮らしについて書いて下さいと読者の方から募集するのはいかがでしょうか?募集?そう。
原稿用紙1枚でもそれよりも短くたっていいんです。
皆さんが書いて下さったものをまとめる事ができたら…。
あっそれなら取材に出向かずとも多くの声を集める事ができますよね。
だが本当にそれで質の高い記事に?読者を信じてみませんか?商品試験の時も信じて応援して下さったんです。
新しい雑誌が日々生まれる中で買い続けて下さっているような方々です。
我々の思いに共感して戦時中の暮らしについてありのままに語って下さるはずです。
奥様と茜さんはいかがでしょうか?これだと花山さんのお体に負担をかけず記事を作る事ができると思うんですが。
ご配慮ありがとうございます。
Dialogue:0,0:12:56.00,0:12:58.2016/09/27(火) 12:45〜13:00
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 とと姉ちゃん(152)「花山、常子に礼を言う」[解][字][デ][再]
花山(唐沢寿明)が倒れる。常子(高畑充希)が向かうと、花山は戦争を知らない世代に引き継ぐため、取材続行を宣言。だが心配する家族に反対され、常子は何も言えず…。
詳細情報
番組内容
花山(唐沢寿明)が広島にでかけてから数日後、突然倒れたという連絡が来る。慌てて病院に向かう常子(高畑充希)たち。聞くと、人々に戦争中の暮らしの様子を取材していたのだという。花山は、戦争に関わってしまった人間として、戦争を知らない世代に当時の記録を残したいと訴える。退院したらすぐに取材を再開するという花山だが、妻・三枝子(奥貫薫)たちはやめるよう必死に説得。そんな家族の姿を見て、常子は何も言えず…。
出演者
【出演】高畑充希,相楽樹,杉咲花,阿部純子,伊藤淳史,奥貫薫,唐沢寿明,吉本実憂,【語り】檀ふみ
原作・脚本
【作】西田征史
音楽
【音楽】遠藤浩二
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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