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【社会】

待機児童対策で「質」置き去り 小規模保育3歳以上も 都知事が規制緩和要望

 東京都の小池百合子知事は九日、政府の国家戦略特区諮問会議に出席し、二歳児以下を対象とした小規模保育所の年齢制限撤廃をはじめ、自治体の保育所設置基準の裁量権拡大を柱とする大幅な規制緩和を要望した。議長の安倍晋三首相は「可能なところから迅速に実現を図りたい」と前向きな姿勢を示した。

 小規模保育所は国の制度に基づく施設で、市区町村が認可する。ビルの一室でも開業でき、国は整備に時間がかかる認可保育所(都道府県が認可)より待機児童解消に即効性が高いと期待する。認可外施設よりも国の補助が手厚く、利用者の保育料も安い。

 三歳になると卒園しなければならないが、三歳以上が入れる通常の認可保育所を探しても入れないことが多く、「三歳の壁」と言われる。

 小池知事はこうした負担の軽減のため、小規模保育所に三歳以上でも居られるようにする規制緩和を要望し、特区としての認定を求めた。

 ほかに、認可保育所より基準が緩い都独自の認証保育所を国の制度として認めることや、ベビーシッター活用の弾力化、保育所を開設しやすくするため保育室の部屋の明るさの基準を緩和するよう提案した。

 一方、同日の諮問会議では、渋谷区が国家戦略特区を活用して都立代々木公園(同区)に保育所と幼稚園の機能を併せ持つ認定こども園を設ける計画が認定された。都が八月三十一日に諮問会議の東京圏区域会議で提案していた。

<解説> 園庭を持たず、ビルの一室など狭いスペースでの開設を想定した小規模保育所は、昨年度から国の認可施設に加わった。活発に動く3歳以上にはより広い場が必要との考え方もあり、年齢制限が設けられたが待機児童対策の名の下でなし崩しにされようとしている。

 東京大大学院発達保育実践政策学センターの調査で、小規模保育所や認可外保育施設は、認可保育所や幼稚園などに比べ、子どもが体を動かし、くつろぐスペースが少なく、その格差が東京23区で顕著だった。秋田喜代美センター長(保育学)は「3歳以上を入れて良いはずがない。幼児期は生涯にわたる人格形成の基礎。保育環境のたがを外せば、将来ツケが回る」と懸念する。

 乳幼児の保護者らでつくる「保育園を考える親の会」の普光院(ふこういん)亜紀代表は「3歳以上を入れた分、2歳以下の定員が減れば本末転倒では」と、待機児童を減らす効果にも疑問を持つ。国会では、質の高い幼児教育を目指す法案も検討している。質を軽視した規制緩和は、その流れに逆行するものだ。 (柏崎智子)

(東京新聞)

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