田舎の不思議なパン屋さん「タルマーリー」の看板メニュー、和食パンを食べてみたいなぁ。
「タルマーリー」 は、『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』の著者である、渡邉格さんが営む不思議なパン屋さん。
きっと、今まで食べたことがないような・・・優しい味で、身体が喜ぶような(美味しさだけではなくて人の身体の細胞が喜ぶような)パンなのではないかと想像している。
近いうちに訪れてみよう。楽しみだな。
「和食パン」というのは、タルマーリーでつくられているパン。
古民家に棲みつく天然の菌でつくる「酒種」を使って発酵させているパンのこと。
「酒種」とは、いくつもの菌が手を取り合って完成する、日本酒の原型のようなものです。その「酒種」を、僕らは、自然界に棲む「天然菌」だけの力で、日本古来の酒造りの方法に則ってつくっています。
古代エジプトで生まれ、ヨーロッパに広まった「洋」の食べものであるパンを、日本酒を醸す「和」の菌の力でつくり出す。「和」と「洋」が手を取り合った日本ならではのパン——。
そんな思いを込めて、「酒種」でつくる食パンを、「和食パン」と呼んでいます。
わたしが以前レストランでパティシエとして働いていた頃、 デザートだけではなく食事と一緒に提供するパンもつくっていたことがあった。
ずっと、お菓子づくりばかりしていたわたしがパンをつくることになり、はじめは少し戸惑いもあったけれど、少しずつ「発酵」というものに魅力を感じるようになり、パンをつくることが好きになったのを今でも覚えている。
その頃から「発酵」というものには、とっても不思議な魅力があって面白いと思っていたけれど、タルマーリーのパンづくりを知ると・・・わたしは、まだ何も知らなかったんだなぁ。と感じる。
「発酵」というのは、奥が深い。というのは感じていたけれど、ここまで追求できるものなのかぁ!!!と感動したのと同時にとっても驚いた。
タルマーリーの酒種パンは、まず麹菌を採取するところから始まるのだそう。
採取した麹菌を蒸した米にふりかけると麹菌がどんどん増えて、米麹ができる。
また、酒種を仕込むためには乳酸菌も必要。乳酸菌が降りてくるように木樽に生米と冷やご飯と水を入れる。そこへ天然の乳酸菌が降りてきたら醗酵させて菩提酛をつくる。
ここで、やっと酒種の仕込みがはじまる。
米麹、菩提酛、冷やご飯を混ぜて置いておくと米のデンプンが糖に分解されてどろりと溶けた状態になる。
これを濾して、液体のほうを2〜3日置き泡がブクブクとあがってきたら酒種が完成。
この酒種と、全粒粉(タルマーリーで自家製粉!)、小麦粉、水、塩、米(!)をミキサーで混ぜ生地をつくる。
そして、一次発酵と2次発酵を経てオーブンで焼き上げると酒種パンのできあがり。
こんなに手間と時間をかけて丁寧につくられた酒種パン。
とっても美味しそう。
「タルマーリー」が目指していることは、小さくてもほんとうのことをするパンづくり。
できるだけ地場の素材を使い、環境にも人間にも地域にも意味のある素材を選ぶ。イーストも添加物も使わずに、手間暇かけてイチから天然酵母をおこして丁寧にパンをつくる。真っ当な ”食” に正当な価格をつけて、それを求めている人にちゃんと届ける。つくり手がきちんと休み、人間らしく暮らせるようにする・・・。
真っ当なこと、本当のことをしたいと願い、それを実現している「タルマーリー」。
素敵だなぁ。
<渡邉格さんの著書の記事>