政府の「働き方改革実現会議」が発足した。 主なテーマは、非正社員と正…
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政府の「働き方改革実現会議」が発足した。
主なテーマは、非正社員と正社員の不合理な賃金格差をなくす同一労働同一賃金の実現と、長時間労働の是正だ。来年3月までに実行計画をまとめる。
いずれも長年の課題であり、これまではむしろ野党が求めてきた改革だ。会議の議長には安倍首相が自ら就いた。本気で取り組むというなら歓迎する。
問われるのは、計画が実効性のある中身になるかどうかだ。
アベノミクスで改善したと首相が誇る雇用の現場では、非正社員が全体の4割近くまで広がっている。先行きへの不安から消費はさえず、結婚や出産をためらう若者も少なくない。格差の是正は待ったなしだ。
首相は「非正規(労働)という言葉をこの国から一掃する」と意気込むが、知りたいのは具体的な道筋だ。政府は、欧州の事例も参考に指針づくりを進めるというが、負担増を警戒する経済界からは早くも「(これまで積み上げてきた)雇用慣行への配慮も必要だ」との声が出ている。賃金の底上げにつなげられるのか、注視したい。
先進諸国の中で際だって長い労働時間も是正が急務だ。過労死など健康上の問題だけでなく、子育てや介護をしながら働くことを難しくしている。
ただ、長時間労働の問題については、法改正をちゅうちょなく行うと言っている同一労働同一賃金と比べ、どうも及び腰の印象だ。
野党は先の国会で、残業時間の上限規制や、1日の勤務を終えてから次の勤務につくまでの間に一定の休息時間を設けるインターバル規制の導入を提案した。検討するべきだろう。
首相は所信表明演説で、働き方改革について「働く人の立場に立った改革だ」と説明した。が、一方で政権は「世界で一番企業が活躍しやすい国」を目指すとして、むしろ経済界が求める規制改革などに前向きな姿勢を示してきた。
国会では、一定収入以上の専門職を労働時間規制の対象から外し、野党が「残業代ゼロ法案」と批判する労働基準法改正案が継続審議になっている。会社が金銭を支払って労働者を退職させる「解雇の金銭解決」も検討が続く。
働き方改革の中で、これらをどう位置づけるのか。継続審議中の法案は再検討して国会に出し直すなど、国民にわかりやすく説明するべきではないか。
何をめざし、どこに軸足を置く改革なのか、全体像をしっかりと示すことが欠かせない。
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