韓国最大手の留学エージェント「留学ドットコム」が不渡りの危機に陥り、学生が前払いした総額20億ウォン(約1億8000万円)余りの学費を留学先の学校に送金していないことが26日、分かった。海外の学校や語学研修機関で学んでいる学生200人余りが授業料滞納で追い出されかねない状況に直面している。留学ドットコムは毎年3000人余りの学生を米国やカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピンなど各国の大学や語学研修機関に送り込んでいる。
留学ドットコムの社員や留学生の保護者によると、同社は昨年110億ウォン(約10億円)の売上高を計上したが、今年は顧客の減少やオフィス賃料の上昇により負債額が60億ウォン(約5億4000万円)まで膨らんだという。社員約70人はここ2カ月間、月給を受け取っていない。ソウル・江南支店の社員20人余りは先月末、ソウル地方雇用労働庁に陳情した。
より深刻な状況に置かれているのは、海外に滞在中の留学・研修生だ。留学ドットコムは留学生が支払った学費を2-3カ月後に現地の学校や研修機関に送金する「納付代行」を行ってきた。留学生を紹介する見返りに現地の学校から学費の一部を手数料として受け取るためだ。だが、今年に入り負債が膨らむと、新規会員が払った学費で借金を返すようになったという。今も新規会員が払う学費は入金後すぐに金融機関などに差し押さえられているが、留学ドットコムはこれを伝えず客の新規募集を続けている。
同社には、子どもが通う現地の学校や機関に学費が振り込まれていないことを知った親からの抗議の電話が殺到している。7月に約500万ウォン(約45万円)を払い20代の娘をフィリピンに語学研修に行かせた親(52)は「娘が学校で『滞納者』として扱われており、毎日不安だったが、最近になって娘が寮を出ていくように言われた。娘の学費が借金の返済に充てられているとは夢にも思わなかった」と話した。
韓国留学協会のキム・ギドン事務局長は「現行法では事業者登録証の発行さえ受ければ誰でも留学エージェントを運営できる」と述べ、会社の設立段階から管理・監督を強化すべきだと指摘した。