外出時助け拒まれ絶望…少女の調書明かす
埼玉県朝霞市で2014年に起きた少女誘拐事件の初公判で検察側は27日、少女(15)が「(誘拐から1カ月後に)外に出られたので、公園で2人に助けを求めようと声をかけたが拒まれ、絶望した」などと話した調書を読み上げた。事件では、大学生の寺内樺風(かぶ)被告(24)=東京都中野区=が当時中学1年だった少女を誘拐、監禁したなどとして未成年者誘拐や監禁致傷などの罪で起訴され、さいたま地裁(松原里美裁判長)で公判が開かれた。
調書によると少女は14年4月のある日、被告の外出中に鍵のかかっていない玄関から外出。近くの公園で子連れの女性に助けを求めようと「少しいいですか」と声をかけたが、「忙しいから無理」と相手にされなかった。
この直後、回転灯をつけた防犯パトロール車の運転手と目が合い助けを求めようとしたが、車は走り去った。少女は被告宅に戻り、午後に再び公園に行って高齢女性に声をかけたが「無理です」と言われたという。
「絶望した」という少女はその日逃げる気になれず、「別の日に再度外に出ようとしたが、ドアは(鍵がかかって)開かなかった」と話したという。
検察側は冒頭陳述で、寺内被告が14年3月10日、下校中の少女を車に誘い込み、「あなたの臓器を売ってお金を作ろうと両親が考えている」などとうそを言ったと主張した。
一方、弁護側は「被告は中学3年の時にいじめられて孤立を深め、社会から孤立した人を(監禁して)観察したいと思うようになった」と説明。被告は精神疾患の可能性が高いと指摘した。さいたま地裁は弁護側の請求を認め、寺内被告の精神鑑定の実施を決めた。【和田浩幸、内田幸一、遠藤大志】