ブスのバンド。それは全員ノーメイクにも関わらず「KISSのコピーバンドですか?」と言われてしまうくらいのロック感がある
〝少し趣向を変えて「ブスとロック」、「ブスとパンク」というテーマはどうでしょうか?〟
そのまんま担当の言であるが、趣向を変えすぎて、手がかりゼロになった感が否めない。一体、何を書かせたいのか。見当もつかないが、とりあえずバンドを組めという話だろうか。
ブスのバンド。確かに、それは全員ノーメイクにも関わらず「KISSのコピーバンドですか?」と言われてしまうくらいのロック感がある。むしろ、ブスが五人くらい集った時点で、それは「ロックバンド」な気がする。これ以上ない反社会的な香りを感じる。
最初に断っておくが、私は音楽に詳しくないので、ロックとパンクの違いもわかっていないし、それがどのようなものかも、おそらく正しく理解していない。
だがこれは、私が「私、オタクなんです」と言ったら「では、三度の飯より男同士のアナルファックがお好きなのですね」と言われてしまうのと同じだ。
そんなことを言われた日には、そいつのアナルに三度の飯を詰めながら「女オタクが全員腐女子なわけじゃねぇ! 色々いるんだ!」みたいなことを言い出すと思うが、正直、傍から見れば全部同じなのだということもわかる。
つまり、いくら細分化されていても、その分野に詳しくない人から見れば、同じに見えるということを理解しないと、世界にもアナルにも平和は訪れないのである。
その場の空気をもろとも粉砕する、蘇った〝シド・ブスシャス〟
前置きが長くなったが、何が言いたいかというと、私がロックやパンクについて間違ったことを書いていても怒らず、無表情で担当の尻を攻撃してくれということである。
おそらくロックやパンクに関し、厳密に理解してない人は私のみならず多いと思うが、何かと使われる便利な言葉でもある。
私はこのように、文章を書くことも多いが、実は本業は漫画家である。どんなものを描いているか一言でいうと「褒めるところがない漫画」を描いている。よって、私の漫画を何らかの罰ゲームで読むことになった人間は、一様に「シュールですね」と言うのである。これは、まずい料理を「個性的な味」と表現するのと同じだ。
ロックやパンクも、時としてこのような使われ方をする。何かしら破天荒な、名状しがたい、簡単に言うと、あまり真似したくない人生を送っている人に対し、「ロックな生き方ですね」と言ったりするのだ。
これは、ブスの顔を褒める時にも使える。さすがに「顔が個性的」、「シュールレアリズム」などと言っては、気分を害される。よって「ロックなツラしてんじゃん」と、言えばいいのだ。
意味としても、間違っていない。今のロックがどうかはわからないが、ロックやパンクというのは元々、恵まれない労働者階級の者が、ブルジョワジーに反抗するための音楽だったと思う。
つまりブスは、ブルジョワジー(=モテ系女)に対し、そのロックな顔面で反抗しているのだ。
カラオケで、西野カナとかを歌うブルジョワ女を『God Save the Queen』で、その場の空気をもろとも粉砕してやるのである。そしてその後、二度とマイクが回ってくることはないだろうが、それは周りが、蘇ったシド・ブスシャスを恐れてのことである。見た目もナンシー(関のほう)に似ているからなおさらだ。
ブスとロックの相性が良いにも関わらず、ロックブスバンドをあまり見かけない理由
このように、パンクロックとブスは相当親和性が高いことがわかる。
逆に、アイドルのような容姿をした女がロックを志すと、たとえ志が本物でも、女がマッド・マックスが好きと言ったときのような「何? 彼氏の影響?」みたいな舐められ感が漂ってしまうので、この点に関しては見ため的にもマッドがマックスなブスの方が、美人よりも恵まれているといえる。
これだけ、ブスとロックの相性が良いにも関わらず、ロックブスバンドをあまり見かけないのは、残念ながら、現在の日本では、アーティスト=芸能人であり、歌が命であるものの、やはり容姿も重要視されてしまうため、ブスがあまりアイドルを目指さないのと同じように、音楽センスが優れていても、容姿を理由にアーティストを目指さない者も多くいるからだと思われる。
また、たとえブスバンドがデビューしたとしても、その音楽よりも、まず「全員ブスバンド爆誕」などという取り上げられ方をしてしまう。
もちろん、夏の星座にぶら下がったり、テトラポッドに登ったりしている、大成功者もいるので、一概にブスはアーティストとして成功できないわけではないが、やはり顔がいい方がリードできるのは否めない。まず、容姿が平均以上でないと(特に女は)、音楽をフラットな状態で聴いてもらえないというのは、残念なことである。
そんな現在のミュージックシーンをぶち壊し、高校の文化祭などで、「ボーカル女・あとは全員男」みたいなバンドが演奏しているさなか、ゴーストバスターズのコスプレで現れ、全員バスターした後、自らの演奏を始める、そんなブスバンドの登場を切に願っている。