米大統領選テレビ討論会の主なやりとり(3)

2016/9/27 14:43
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 【サイバー攻撃】

 クリントン氏

 「サイバーセキュリティーは次期大統領にとって大きな課題だろう。我々が直面しているのは2つの異なる敵だ。1つは商業的な理由で情報を入手しようとするハッキンググループ。そして2つ目は国によるサイバー攻撃だ。国によるサイバー攻撃のリスクが増えている。明らかなのは、ロシアがこの分野で問題の国であることだ。米国の大きな組織の多くがロシアから攻撃を受けている」

 「さらに問題なのは、トランプ氏がハッキングを仕掛けているロシアのプーチン大統領を褒めていることだ。これには大変憂慮している。ロシアはサイバー攻撃を米国の政府関係者、個人、そして民主党党大会に仕掛けた。いずれにせよ、ロシアであろうと、中国であろうと、イランであろうと、米国がサイバー攻撃に十分に対応する力があることを明らかにする必要がある」

 「民間部門であろうと公的部門であろうとあらゆるサイバー攻撃を米国は見逃さない。新種のこうした戦争に従事したくないのは山々だが、我々は米国民を守る義務がある。ロシアはこの決意を知るべきだろう」

 「繰り返しになるが、トランプ氏はプーチン大統領を米国に公式に招待した。大きなショックを覚える。この一件からしても、トランプ氏は米軍の最高司令官としてふさわしい人物とは言えない」

 トランプ氏 

 「まず言いたいのは今後、200人を超える米国をリードしてきた提督や将軍から支持を得ることになっている。1万6500人の国境警備隊からも支持を受けている。このことを誇りに思う」

 「サイバー攻撃については、クリントン氏の言うことに一部正しい部分もあるだろう。しかし、ロシア、ロシアと言うが、中国かもしれないし、ベッドで寝転んでいる400ポンドの人間なのかもしれない。民主党全国大会に攻撃したのは誰かもわからない」

 「この件から我々が学んだのは(民主党大統領候補だった)バーニー・サンダース氏を追い落とそうとするメールが流出し、デビー・ワッサーマンシュルツ氏が民主党全国委員長の辞任に追い込まれたことだ。いずれにせよ、かつてコントロールできた事柄がオバマ政権の下でできなくなった」

 【イスラム国】

 クリントン氏 

 「我々はサイバー攻撃以外にも議論すべきことがある。過激派組織『イスラム国』(IS)だ。私はISを倒す計画を進める。まず、テクノロジー企業と連携し、ISのインターネットを使ったプロパカンダを封じる必要がある。ISに対する空爆もより強めるべきだ。結果として、アラブの国々やクルドの人々をISのくびきから逃れることを支援することができる」

 「ISの件については、米国がすべての事柄について主導権を握り続けるべきだ。アル・カイダ掃討の時は、私は国務長官として指揮した」

 トランプ氏 

 「オバマ大統領もクリントン氏もイラクから出て行き、イラクにISがはびこる真空地帯を作ってしまった。クリントン氏は長い間、なんとかしてイラクから出て行こうとしていた。出て行ったことが大きな災いをもたらした」

 【NATO】

 クリントン氏 

 「中東政策で重要なのは情報収集をできるだけやることだ。そして同盟も活用する。特に重要なのは、歴史的に長い軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)との連携だ」

 トランプ氏 

 「NATOについて米国が73%もの費用を負担している。他国の人々を守るにはあまりにも多すぎる負担だ。私が言い続けているのはNATOはテロにも焦点を当てるべきだということだ。NATOについて言いたいことの大半がこのことなのだ。NATOとともに中東対策を進める。加えて、周辺国と協力してISを地獄に落とす」

 【イラク戦争】

 トランプ氏 

 「(イラク戦争を支持していたとの指摘に)それこそ、クリントン氏にそそのかされた主要メディアによるくだらない報道だ。ちょっと待ってよ、私はイラク戦争に反対していた」

 クリントン氏 

 「あら、記録とは違うわよ」

 トランプ氏 

 「それは違う、記録は私が正しいことを示している」

 クリントン氏 

 「9月11日(米同時テロ)以降、北大西洋条約機構(NATO)の28カ国はアフガニスタンへ行き、米国とともにテロと戦うと言ってくれた。彼らは今も我々の側にいる」

 【核開発問題】

 「イランについていえば、私が国務長官になった時にはイランはもう少しで爆弾が作れるほど核開発を進めていた。上院議員時代、私はイランに対する制裁案の全てに賛成したが、不十分だった。国務長官になり、1年半かけてロシアや中国とも協調し、最も厳しい制裁案をイランに課した。そして、彼らを交渉の席に引きずり出した」

 「その後、私の後任のケリー国務長官とオバマ大統領は武力に一切頼ることなく核開発に関する合意に達した。外交とはこういうものだ」

 「トランプ氏の発言の中で最も恐ろしいのは、核兵器についてだ。彼は繰り返し他の国が核兵器を持とうが気にしないと発言している。民主党共和党問わず、核兵器の拡散を減らすというのが米国の長年の政策だ」

 「彼は東アジアで核戦争が起きても構わないとすら発言している。彼の核兵器に対する傲慢な態度は大きな問題だ。核兵器は我々が世界で直面している最も大きな脅威だ。テロリストたちが核兵器を手にしたら恐ろしいことになる。態度をころころ変えるような人間は核兵器コードの近くに手を置くべきではない」

 トランプ氏 

 「世界最大にして唯一の問題は核兵器だという点について、ヒラリー氏に同意する。米国は日本を守り、ドイツを守り、韓国を守り、サウジアラビアを守っている。彼らは、米国が多大な軍事サービスを提供しているにもかかわらず、払うべき対価を払っていない。40年前とは状況が違う。何百万台も車を売っている経済大国である日本のことを守ることはできない」

 【同盟国】

 クリントン氏 

 「米国はいくつも相互防衛条約を結んでおり、私はその国々に敬意を示したい。この選挙戦を通じて、世界中の他の国々のリーダーたちを不安にさせてしまっている。しかし、私は大半の米国人を代表して、約束は守られると言いたい」

 「トランプ氏は具体的に何をするかを言わない。我々を批判するのなら、代替案を示してほしい。IS撲滅プランも秘密の計画だというが、秘密なのは彼が何も計画していないということだ。世界中の人々が行動のヒントを得るため大統領選挙を見ている。私は人々が国内でも国外でも頼ることができ、平和と繁栄をもたらしながら、脅威には立ち向かう米国のリーダーになりたい」

 トランプ氏 

 「もちろん全ての同盟国を救ってあげたいと思うが、これまでに大金を失っている。米国は全ての国を守る世界の警察にはなれない」

 【女性大統領】

 トランプ氏 

 「米国の大統領になり、他国と難しい交渉をするには、多くのスタミナが必要だが、クリントン氏にはそのスタミナがない」

 クリントン氏 

 「112カ国を旅して、平和交渉や停戦交渉を進め、反体制派を解放し、世界の国々に新しい機会を与える経験をしてからスタミナについて発言してほしい。もしくは、11時間の議会証言を経験するだけでもいいかもしれない」

 「トランプ氏はスタミナの議論にすり替えているが、女性を豚や犬と呼んでいた人だ。妊娠中の女性従業員は迷惑だと発言したこともある。彼が大好きな美人コンテストでは、ラテンアメリカ系の女性のことを家政婦と呼んだこともある。彼女は米国の市民権を得て、今回の大統領選では投票権を持つ」

 トランプ氏 

 「クリントン氏は大金を投じ、私に負の印象を植え付けるCMを放送している。これはよくないことだ」

 【選挙戦の後】

 クリントン氏 

 「私は民主主義を支持している。勝つこともあれば負けることもあるが、結果は受け止める。これは私とトランプ氏の問題ではなく、あなたとあなたの家族、そしてこの国の未来に関わることだ。将来を任せることができる候補に投票してくれることを望んでいる」

 トランプ氏 

 「私は米国を再び偉大にしたい。私にはそれが可能だ。もしクリントン氏が勝てば、彼女を支援する」

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