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本書では、これまで心配されてきたテレビゲームの影響を、初めて目に見えるかたちで表しています。驚くことに、テレビゲームのなかには前頭前野の脳活動をあきらかに劇的に低下させるものが多いことがわかったのです。このままこれを放置していると、テレビゲームに熱中しすぎる子どもたちは、キレやすく、注意散漫で、創造性を養えないまま大人になってしまうと思われます。さらに若年生痴呆状態を加速する可能性が高くなるのではないかと危惧しています。
現在の目覚ましいIT革命は、子どもたちの限りない潜在脳力を剥ぎ取っている可能性があると考えられます。これが幼児期であればあるほど、深刻な問題に陥ると思われます。
わたしたちはもう一度、未来ある子どもたちが、空想の世界で生きるよりも自然の世界を大切にし、五感を働かせてのびのびと野山を走り回り、親子や友達とのふれあいを大切にするような教育について考え直す必要があります。ゲームのボタン操作による機械との対話ではなく、直接人間同士がふれあい語りあうことが重要なのです。
私の友人がこんな話をしていました。子どもが自分の飼育していたカブトムシが死んでしまい、親が悲しんでいる様子を見て、「パパ、電池を交換すればいいよ」と真剣な顔をして言ったそうです。この話に私は非常に強い衝撃を受けましたが、子どもの脳に異変が生じていることは現実なのです。
本書では、はじめに脳のしくみをわかりやすく解説しています。そのうえでテレビゲームが前頭前野の脳細胞活動を表す脳波の成分(β波)にどう影響を及ぼしているのか、さらに、全身運動が前頭前野の活動に及ぼす影響についても解説しています。本書が少しでも子どもの未来のお役に立てば幸いです。 |
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