米大統領選テレビ討論会の主なやりとり(2)

2016/9/27 13:20
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 【人種】

 クリントン氏 「依然として大きな問題だ。残念なことに、人種が社会の様々な要素を左右している。住む場所や公立学校で受けられる教育の質、司法制度での扱いなどだ。(警察による黒人射殺が起きたノースカロライナ州)シャーロットや(オクラホマ州)タルサが、こうした悲劇の代表例だ」

 「問題解決のため同時に取り組まなくてはいけない課題がある。まずは、警察と市民の間の信頼関係を回復することだ。次に、警察官に最善の訓練を受けさせ、必要な時にだけ武力を行使するよう教育する必要がある。すべての人が法によって守られ、すべての人が法を尊重しなくてはいけない。現在は、こうした状態になっていない地域が米国内に多く存在する」

 「選挙戦の初日から司法制度改革を訴えている。武力の使い方を間違っている警察官だけでなく、優秀な警察官たちも改革を望んでいるからだ。市民と警察が一丸となって、よりよい社会を目指さなくてはいけない。銃の規制が必要だ。銃の暴力が、アフリカ系の若者たちの死因の1位となっている」

 トランプ氏 「クリントン氏が使いたがらない用語がある。法と秩序だ。法と秩序の両方が存在しなければ、国は成り立たない。シャーロットはビジネスマンとして投資もして大好きな街だが、現在、法と秩序を失っている。米国には今、こうした法と秩序を失った場所が多い。米国に必要なのは、法と秩序だ」

 「大都市の多くが治安の非常に悪い場所を抱えている。アフリカ系やヒスパニック系の住民は、生き地獄のような状態に住んでいる。通りを歩いているだけで、撃たれたりするのだ。例えばシカゴでは、今年だけで数千件の銃関連の事件が起きている」

 「まるで紛争地のようだと思う。シカゴのような場所は、法と秩序を取り戻す必要がある。(警察が懸念を持った通行人を呼び止め身体検査をする)『ストップ・アンド・フリスク』のような手法を導入する必要がある。(1990年代に)ニューヨークで導入され、犯罪率の低下に大いに効果を現した。犯罪者から銃を奪う必要がある」

 【治安】

 トランプ氏 「通りはギャングであふれている。多くの場合は不法移民だ。こうした不法移民が銃で市民を撃っている。我々は心を強く持ち対抗しなくてはいけない。現在、警察は事態にきちんと対応できていない。手をこまねいているのだ。だが、私たちは都市の治安の悪い地域も守らなくてはいけない。アフリカ系の市民が犯罪に苦しんでいるからだ」

 「(ストップ・アンド・フリスクは警察による人種差別につながるとして批判も多いが)私はそうは思わない。銃を犯罪者の手から奪わなくてはいけない。怪しい人物を呼び止めるストップ・アンド・フリスクは銃犯罪の低減に有効だ。市民と警察の関係は良くならなくてはいけない。この点は、クリントン氏と同意見だ」

 クリントン氏 「トランプ氏がアフリカ系住民に対し、そこまで暗いイメージを持っているのは残念だ。黒人が集まる教会はにぎわい、黒人が経営する企業は多くの人を雇用している。安全な生活を送れるよう互いに気を配り合っている」

 「全体として、深刻な犯罪は1991年に比べ、半分に減っている。この流れを反転させないことが大切だ。警察と市民の協力関係が重要だ。組織的な人種差別が存在するなかで、法と秩序をゴリ押しするのは危険だ。犯罪者の更生の仕組みの充実などが必要だと思う」

 【銃規制】

 クリントン氏 「常識的な銃規制の強化も重要だ。軍事用の銃の規制には、トランプ氏も銃ロビー団体も賛成している。テロリストの可能性があるとして、飛行機に搭乗できない人が、銃を買えるような状況は変えるべきだ」

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