■今まで出会った中で一番すごい人。
遠い昔に働いていた職場での話である。
「私、突出していたの」
前触れもなく、そんなことを言い出した年上のおばさま。
私はといえば、頭の中に「?」がひとつ。
彼女は淡々と続けた。
「学生の頃、教科書とかもう早くに読み終えちゃって、授業が退屈で仕方なかったの。だからサボったこともあったわ。先生は、テストの点数さえよければ何も言わなかったしね」
うん十年前の懐かしい思い出なんだろう。
でも、普通、突出してたとか自分で言う?というより、本当は突出って悪い意味で使うんだっけ?(念のために調べたらいい意味だった)
なんてことを考えた後、口からポロっと出たのは
「授業サボったこと、後悔してるんですか?」
という言葉。彼女にとってトンチンカンだったのだろう。
「別に」と、ちょっと驚いた様子で返してきた。
すごいですね!とか言ってほしかったのかもしれないが、どこもすごいと思えなかった。
彼女は頭はいい人だったが、精神的に問題を抱えている人で、私はよく攻撃対象になっていた。
