やさしい献立
コラム高齢者の食事のお悩み

- 先生: 山田晴子 やまだ・はるこ
- 1986年日本女子大学大学院修了。栄養士。介護食アドバイザー通信講座などで指導を行っている。研究分野は、高齢者・小児歯科栄養学。
1月号 / 第4回 食事のお悩み 〜じょうずに食べる方法は?〜
2015
姿勢、飲み込み方に注意をしながら食べましょう。
以下に紹介するポイントを実践して、自分で食べられるうちは、できる限り自分で食べることが大切です。高齢者にとって「誤嚥」はもっとも避けたいことですが、自分で食べることがそれを防ぐ一番の策ですから。●背筋をのばして食べる
背中を丸めて食べている高齢者の姿を目にすることがありますが、背中が丸まっているとうまく飲み込むことができません。よい姿勢とは、まっすぐ前を見て背筋をしっかりのばし、舌を出したときに床と平行になる状態です。いっしょに食べる人と向き合って座ったり、テレビを背筋がのびる位置に置いたりするとよいでしょう。
また、ふかふかのソファーで食べるのは体が沈み込んで姿勢が悪くなるので、避けてください。入れ歯が浮き上がって食べにくいと感じている人は椅子を見直してみましょう。入れ歯は正面を向いたときに合うようにできているので、ふかふかのソファーでは浮き上がってしまうこともあるのです。
●むせやすい人は「うなずき飲み込み」を
うなずき飲み込みとは「うん」とうなずくと同時に「ゴックン」と飲み込む方法です。あごが上がっていると口の中に圧力がかけにくく飲み込みにくいだけでなく、のどと気管がまっすぐな状態になるため気管に食べものがいきやすくむせてしまいます。あごを引いて飲み込むようにしましょう。
●食後2時間くらいは起きている
食べものを飲み込んでも、それは口の中からなくなっただけで、食道のあたりにとどまっていることもあります。それが気づかないうちに気管に入り、誤嚥性肺炎(※)につながる可能性もあります。食事が終わったらすぐに横にならず、しばらく起きていましょう。
※誤嚥性肺炎とは
食べものや飲みものなどが誤って気管に入り(これを「誤嚥」という)、それらに含まれた細菌が気管から肺に入り込み、肺の中で細菌が繁殖して起こる肺炎。ときに命にかかわる場合もある危険な病気。
●意識して飲み込む
おしゃべりやテレビなどに集中しすぎて飲み込む意識が薄れると、むせることがあります。食事のときは、「ゴックン」を意識しながら食べましょう。
●飲み込んだあとにもう一度「ゴックン」する
自分では「ゴックン」と飲み込んだつもりでも、口の中やのどに食べもののかけらが残っていることもあります。残った状態で食べ続けると、その量が増えて誤嚥の危険性が高まってしまいます。食べものを飲み込んだら、もう一度つばを飲み込んだり、食中や食後に水やお茶(むせる人はとろみをつけたお茶など)を飲み、口の中とのどをきれいにしましょう。
●食後の口腔ケアをする
口の中に食べものが残っていると寝ている間に気管に入ってしまい、そこから誤嚥性肺炎につながる場合もあります。食後は入れ歯をはずして洗い、口の中もゆすいだり舌ブラシで掃除をしたりして清潔にしましょう。
参考文献
『絵で見てわかる かみやすい飲み込みやすい食事のくふう』(女子栄養大学出版部)