昭和の公衆便所を彷彿…異臭漂う“豊洲地下空間”滞在ルポ
最近見かけないトイレボールの原料はベンゼンの化合物である「パラジクロロベンゼン」。強い毒性を持ち、高濃度の気体を吸い込むと、めまいや頭痛、肝臓機能障害を引き起こす。空気中にわずかでも存在すれば、かぎ分けることができるという。異臭の原因にベンゼンが関係しているのか。
「地下空間の空気からは、最大で環境基準の8割超のベンゼンが検出されており、刺激臭の原因になっているとも考えられます。また、豊洲は荒川の底にたまったヘドロで埋め立てられている。ヘドロは腐った植物など有機物からできており、アンモニアから生成される亜硝酸性窒素が含まれています。体に取り込むようなことがあれば、赤血球の働きを阻害し、最悪、酸欠状態に陥る恐れがあります」(日本環境学会元会長の畑明郎氏)
■小型ユンボも動かせない狭さ
湿気は感じるが、空間内はひんやりしている。不可解なのは、天井が低すぎることだ。身長170センチの記者がかがまなければ、頭をぶつけるほどの位置まで梁がせり出していた。さらに、腰の高さまで配管が張り巡らされており、かがんだりよけたりしなければ歩くことさえ困難だった。