伏字の文化史
森話社より、牧義之『伏字の文化史 検閲・文学・出版』(2014年12月)が刊行された。
「序章 伏字に出会う」に、「本書が課題とするのは、戦前・戦中期日本の検閲体制下における、伏字の文化記号としての意義と役割、そして文学作品への影響に関する実証的な考察である。」と、モチーフが語られている。
どこかで炯眼の方が指摘しているように、「内閲」についての考察でもある。
戦前•戦中期日本における書物の流通と管理のあり方について、いろいろ学べる本でもある。
「第3章 法外便宜的措置としての内閲② 萩原朔太郎『月に吠える』の内閲と削除」という章もある。「室生犀星の「蒼白き巣窟」や、『江原小弥太短編集』の目次などの断り書きに共通して見られる「その筋の注意により」という文言は、正式な禁止処分ではなく内閲による注意を受けたことを表している」という一節があって、「その筋の注意」の意味が理解できた。
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