地震被害のミャンマー仏教遺跡 日本に協力呼びかけ

先月、ミャンマーで起きた地震で大きな被害を受けた世界的な仏教遺跡、バガンについて、調査に当たったミャンマーの考古学者が来日して講演し、「およそ400の建造物に何らかの損傷が見られ、被害は深刻だ」と報告したうえで、日本の専門家に協力を呼びかけました。
ミャンマーの中部にある世界的な仏教遺跡、バガンは、先月24日に発生した大地震で多くの仏塔や寺院に被害が出ました。
現地で被害の調査に当たったミャンマーの考古学者、ニュン・ハン博士が26日、東京・台東区の東京文化財研究所で講演し、最新の状況を報告しました。

それによりますと、空中から撮影した写真などを基に分析した結果、2500以上あるとされる仏塔や寺院のうち、およそ400の建造物で何らかの損傷が確認され、主要な寺院の中で最も被害の大きかった「スラ・マニ寺院」では、建物の上部にある塔が倒壊し、下の階の天井を突き破って穴を開けていたということです。

ニュン・ハン博士は損傷した建物の修復について、「復旧を急いで形だけを復元するのではなく、歴史的な価値を損なわないよう、時間をかけて修復すべきだ」と提言しました。そして最後に、「ミャンマーでは十分な数の考古学者や文化財の修復の専門家が育っていないうえ、復元するための素材の開発やテストができる状況ではない」と述べ、日本の専門家に協力を呼びかけました。

講演会には日本の考古学者や文化財の修復の専門家らおよそ30人が参加し、修復に向けた現地での動きなどについて博士と意見を交わしていました。