政策空き家に指定されると、新たに入居が認められず、部屋も移れない。階段の上り下りがつらい高齢者といえども、下の階に移り住むということができなくなるわけだ。
同団地の大部分を政策空き家に指定して住民自体を大幅に減らし、最終的に4棟程度の建物に住民を集約させたい意向を市側は持っている。市の人口流出につながるリスクがあるが、建物を取り壊してインフラを縮小することで市のコストを削減する道を選んだ。今後、住民の理解を得られるように努力を続けていく方針だが、すでに同団地の一部では住宅の取り壊しが始まっている。
○高校か保育園かの二者択一
夕張市の断腸の思いの策が実施されている一方で、水面下では新たな問題が発生していた。市内の中学生3年生を対象にしたアンケートでは、地元の高校へ進学を希望する子どもたちが3分の1程度しかいなかったのだ。以前は8割ほどが希望していたそうだが、学校の統廃合など行政サービスが切り詰められてきた現実を肌で感じている世代は、一刻も早く夕張市を離れたいと考えているようだ。
並行して、市内の保育園の老朽化という問題も夕張市は抱えている。番組で紹介されたある保育園は、建てられたのが40年前で現在の耐震基準を満たしていない。そのため、毎月の避難訓練で子供たちの安全確保に努めているとのこと。夕張市にある3つの保育園は、いずれも耐震基準を満たしていないという。
高校か、保育園か――。鈴木市長は、財源が限られる中での選択を迫られる。…