1日の家賃が1,350円のその部屋を「一時的な仮の住まい」とするはずだったが、結果的に長期間になってしまっている人が増えているという。新潟県出身のある男性は、年収200万円程度で結婚も難しいと話していた。
豊島区の年代別人口ピラミッドを見ると、現在の20~30代は2040年に3割減ると予測されている。そしてこの新潟県の男性のように未婚の20~30代が区内にとどまると、住民税などによる税収が少なくなる一方で、高齢化に伴い社会保障費が増大するという問題が浮上してくる。
豊島区が想定する最悪のシナリオは以下の通りだ。
■2020年に区の人口が減少
■2028年に区の税収が減少
■2035年に社会保障費が現在より50億円増え、区は財源不足に陥る
■2060年には区の財源不足が100億円を超える
豊島区の高野之夫区長は「今の財政規模の中で(財源が)100億円少なくなると区民サービスを相当カットしなければいけないし、大変な行政経営になってくる」と危機感を口にする。
●市長の手取り給与が16万円を下回る北海道夕張市の現状
豊島区が描くこの近未来は、「東京全体の縮図」とも言われている。2040年には都内のすべての自治体で人口が減少に転じると予想されているためだ。東京は日本全体の「成長エンジン」。東京の富が地方に行き届くことが長らく日本の発展を支えてきたが、その成長モデルの根幹が今、揺らごうとしている。
○痛みを伴う「撤退戦」に挑む
「縮小ニッポン」では、人口増加を前提にしてきた社会システムを見直し、縮小していく必要に迫られる。…