点滴に異物混入で2人死亡 同じ成分の消毒液か

点滴に異物混入で2人死亡 同じ成分の消毒液か
横浜市の病院で入院中の男性2人が異物の混入による中毒の疑いで相次いで死亡した事件で、2人の体内から検出された異物は、医療器具などの殺菌に使われる同じ成分の消毒液の疑いがあることが、捜査関係者への取材でわかりました。同じような消毒液は病院内にもあり、警察は何者かが2人の点滴に消毒液を混入した疑いもあると見て調べています。
今月、横浜市神奈川区にある「大口病院」で、いずれも入院患者の八巻信雄さん(88)と西川惣藏さん(88)が相次いで死亡し、2人の体内から「界面活性剤」が検出されたことから、警察は何者かが2人の点滴に異物を混入したと見て、殺人の疑いで捜査しています。

「界面活性剤」は洗剤や医薬品などに広く使用されていますが、その後の調べで、2人の体内から検出された「界面活性剤」は、医療器具の殺菌などに使われる同じ成分の消毒液の疑いがあることが、捜査関係者への取材でわかりました。この病院では、検出されたものと同じような消毒液が使用されているということです。

警察は何者かが2人の点滴に消毒液を混入した疑いがあると見て捜査を進めています。また、2人の点滴と一緒に、ほかの患者の点滴およそ50個が、同じ場所に保管されていたことから、これらについても異物が混入していないか分析しています。

事前に病院内のトラブル情報 横浜市が対応検証へ

この事件で、横浜市は事件が明らかになる前に病院内でのトラブルの情報が複数回寄せられていたことから、当時の市の対応が適切だったかどうか検証することになりました。

横浜市によりますと、事件が起きた「大口病院」をめぐっては、ことし7月5日には「看護師のエプロンが切り裂かれたほか、カルテが紛失した」という内容のメールが、先月12日には「漂白剤らしきものが飲み物に混入し、飲んだ看護師の唇がただれた」という内容のメールが市の医療安全課に寄せられていました。

しかし、横浜市は、今月2日に定期的な立ち入り検査が予定されていたことから、すぐに事実関係の確認はしませんでした。さらに、立ち入り検査の際も、通常の検査項目に加えて、メールの内容について担当者に聞き取りをしただけで、詳しい調査はしていなかったということです。

横浜市は当時の対応が適切だったかどうか検証することになりました。