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思ったより普及していなかったクラウドはどこへ向かうのか

2016/09/26 06:00

AzureやGoogleの話なども少し

編集部 今日はこれくらいで大丈夫ですか。何か言い忘れたことはないですか。クラウド。

井上 AWSの話ばかりでしたね。他の、Azureとか。

神林 Azure悪くないですよっていう話は入れておかないと。なんかね、悪くないんだこれが。Azureはやっとまともに試されるステージに来たっていう感じです。感覚的に言うと2年前のAmazonかな。逆に言うと、ここ1年で2年前のAmazonくらいまでに迫った感がありますよね。

井上 Azureはうちもようやく使い始めていますね。

神林 まともに使えるようになったのって、たぶん1年位前ですけど、ジャンプはすごくて、Amazonに比べたらまだまだだと思いますけど、その迫るスピード感は大したものだと思います。

井上 ソフトウェアの自力っていうことでいうと、Microsoftはやっぱり力ありますよね。

神林 いやあ、強い強い。あれは大したもんだ。さすがにすごい。あれは感心する。品質とか安定性とかまだまだだと思いますけど、やっぱり、おもしろいですね。ソフトウェアカンパニーの中ではMicrosoftが今いちばんおもしろいと思います。

井上 Googleはどうですか。Googleはさきほど、継続性の心配をしていましたけど。

神林 Googleは、あのー、何をしたいのかがわからないですね。何をしたいのかがわからない。要はやりたいことって結局、ある程度いろいろなことを先読みして、みんながハッピーになるような世界を作りたいんだみたいな話なんでしょっていうのはわかるんですけど、それにしてはやっていることのちぐはぐ感がすごいし、やっぱり自分中心に考えてしまっているので、お客とかを考えたときにどう接していいかっていうことについてのポリシーがないですよね。どんな風に自分のお客さんと付き合うか。結局、広告で始まってしまっているので、そことは話はできると思うんですけど、エンドユーザーに直接物を売ってお金を取っているという経験が圧倒的に少ないと思うんですね、Amazonに比べて。

井上 まあ、そうですね。

神林 だからそこをどうしたらいいかっていうところが、たぶんわからない。わからないまま大人になったので、プライバシーの情報は全部もらいますよとか普通に言ってみたりとか。そうすることで、相手のことがわかる!って勘違いしているんですよね、会社として、いろいろデタラメ感もあって、たとえば、TensorFlowを出したじゃないですか、オープンソースで。あれ、完全にHadoopみたいな流れが怖かったんですよ。GoogleはHadoopで完全に乗り遅れたんで。あんなもん使ってないよMapReduceなんて知るかって言ってたら、Hadoopコミュニティってガーっとでかくなったじゃないですか。Googleの席1つもないですから。あんなにでかいGoogleですら。まったくない、スペースが。…というのが怖くなったのでオープンソースやってみようかな、って。

井上 だいぶ批判的ですね(笑)。

神林 いや、実際そうですよ。Hadoopコミュニティに完全に乗り遅れたんですよ。そういう反省があるので、ディープラーニングではOSSみたいな形でいこう、と。で、やってみましたと。でも最初に出したときは、分散環境はサポート出さないとか、なにその中途半端なやり方。だからもう、接し方がわかってないとしか思えないのよね。外部に対するコミュニケーション能力が極端に低いです、あの会社は。だからパンとやめてしまったりとか、あれがこれやめてもいいよね、とか。ちょっとユーザーと会話しろよ、してないじゃん、と。コミュ力がすごく低いんですよね、Googleって。

井上 ……親近感がわくじゃないですか(笑)。

神林 それは大人じゃないですね。その割には態度だけは大人なので、そういう意味でいうとGoogleのクラウドって、enfant terribleですよね。わからん。何を始めるのかがわからない。

井上 実は最近、Googleの人と話すことが多くて。彼ら曰く、他のサービス、継続性が心配と言われているけど、Googleのクラウドは彼ら自身が使っているので継続はちゃんとしていますよという言い方をしていますけどね。

神林 彼ら自身が使っているということはどうしてわかるの、みたいなですね。

井上 そこまで疑いますか(笑)。

神林 当然ですよ。だって使えないじゃない他にあれ、F1とか。あれって広告に作ってるんじゃん。あなたがたが書いた論文にあれRDBだって主張しているけどあんなRDBだっていう人ただのひとりもいないですよと。自分の書いた論文をもう一回読んでから言ってこいっていう話。まぁ、今じゃ別物になっているとは思いますけど。

井上 F1は乗ってるかな。BigTableですね、基本的には。

神林 F1は乗ってますよあれ。乗ってないんだったら、自分で使ってません、間違いありません。

井上 BigTableで使ってるじゃないですか。

神林 F1、BigTableの上で走ってないでしょう?

井上 F1とは別。

神林 でもF1でやってませんか。ベース。

井上 それはアド系ですよね。

神林 アド系メインですよね。

井上 GMailとかGoogle Appsとか。

神林 あ、そっち?それはBigTableかもしれないけど。メインはアドじゃないですか。

井上 何をメインとするかっていうのは…

神林 彼らの事業収入の大半はどこから来ているのっていう。事業収入の大半で使ってない基盤を自分で使っているから大丈夫って他人に言うのとか、おかしくないですか?

井上 うーん。

神林 まあ、それを言ったらね、Amazonも微妙らしいんですけどね、実態は。

編集部 そろそろまとめますと、Amazonは技術的にはすごいけどサポートがだめであると。Microsoftは2年前のAmazonくらいだが追い上げっぷりがすごいと。Googleはコミュニケーション能力が低い。

神林 そのまとめ方のざっくり感すごいっすね。まあ、やっぱりその、クラウドってサービスじゃないですか。そうすると、外部に対するコミュニケーション能力が会社として組織としてどれだけ高いかってすごく大事なんですよ。で、一番高いのがMicrosoftです。やっぱり伊達ではないです。Windowsを売っていて、サポートを売っていて、いろんなソフトを売ってきた。そのコミュニケーション能力が組織として備わっている。それがやっぱり追いつく要因ですよね。まぁあといろいろ話したいこともあるけど、これまた、会社が言うなっていうので、ノーコメントね(笑)。

編集部 いまのが総括ですかね。

井上 他は……。

神林 他ってどこ(笑)?

井上 IBMのSoftLayerとか……。

神林 SoftLayerは微妙に能力高いはずなんだよ。本当は。でもわかんないんだよね。SoftLayer自体はばかっと買ったんですよね。IBMが。割と独立自営のみでやらせているっていう話もあって、その辺がちょっと見えづらい。

井上 でもなんかまあ、やっぱり売り方が下手ですよね。

神林 ものは悪くないはずなんですよね。

井上 SoftLayerを買ってSoftLayer売りにしているかなと思ったら上のBluemix売りにしてっていう……。

神林 そうそうそう。あれどうなのよと。

編集部 ではクラウドについてはこれくらいで。次回はエンジニアのキャリアなどについてお話をしていただく予定です。



著者プロフィール

  • DB Online編集部(ディービーオンライン ヘンシュウブ)

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  • 井上誠一郎(イノウエ セイイチロウ)

     株式会社ワークスアプリケーションズ  Partner/Executive Fellow  ロータス株式会社時代、アメリカ・ボストンのIris Associates社に出向、Lotus Notesの開発に従事。その後、アリエル・ネットワーク株式会社の創業メンバーとして参加、CTOを務める。現在は株...

  • 神林飛志(カンバヤシ タカシ)

     ノーチラス・テクノロジーズ 代表取締役社長  1998年、小売りチェーンのカスミに入社。2002年10月にウルシステムズ取締役に就任。2011年10月ノーチラス・テクノロジーズ代表取締役副社長を経て、2012年4月より現職。オープンソースの分散処理ソフト「Hadoop」で基幹系のバッチシステムを...

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