古代ローマ銅貨が出土 国内初
「海外との交流を考える貴重な資料」
沖縄県うるま市教育委員会は26日、世界遺産で国指定史跡の「勝連城(かつれんじょう)跡」から、3〜4世紀のローマ帝国のコインとみられる銅貨4枚と、17世紀のオスマン帝国のコインとみられる銅貨1枚が出土したと発表した。国内の遺跡から両帝国のコインが出土するのは初めて。勝連城はアジアとの交易で14〜15世紀に栄えたとされることから、市教委は「当時の沖縄と海外との交流を考える貴重な資料になる」としている。
市教委によると、2013年度に「四の曲輪(くるわ)東区」で遺構調査したところ、小さな円形の金属製品10点を発見。ローマ文字やアラビア文字、人物像が確認されたことから、専門家と分析した結果、5枚が両帝国時代の銅貨とみられることが判明した。
3〜4世紀のローマ帝国時代の銅貨とみられるのは4枚で、このうち2枚は14〜15世紀と推測される地層から出土した。大きさは直径1.6〜2センチ、厚さ0.1〜0.17センチ、重さ1.5〜3.6グラム。当時の皇帝とみられる肖像やローマ字が打たれているものもある。
また、1枚はオスマン帝国の銅貨とみられ、直径2センチ、厚さ0.6ミリ、重さ1.2グラム。「1687年」を示す当時の暦が刻まれているのが確認された。
勝連城は12〜13世紀に築かれ、民衆から人気が高かった有力按司(あじ)(領主)の「阿麻和利(あまわり)」の居城として知られる。阿麻和利が首里王府軍に攻め入られて敗北したことで1458年に廃城した。2000年に世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の一つとして登録された。【佐藤敬一】