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中国空軍、西太平洋で演習常態化 日米の影響力低下狙う

2016/9/26 20:22
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 【北京=永井央紀】中国空軍が活動範囲を急速に拡大させている。25日に西太平洋で実施した大規模演習によって、東シナ海や南シナ海の外側での軍事行動を常態化させる方針が鮮明になった。日米の軍事的な影響力を低下させようとの長期的な戦略がうかがえる。

 沖縄本島と宮古島の間にある宮古海峡上空を25日、40機の軍用機が白い機体を光らせながら通過した。中国軍の主力戦闘機である「スホイ30」や戦略爆撃機「轟6K」のほか空中給油機や情報収集機も参加し、宮古海峡の先にある西太平洋で実戦的な演習を実施した。

 中国空軍が宮古海峡を抜けて西太平洋で演習を実施したのは3回目だが、過去最大規模の演習だったもようだ。戦闘機が参加したのも今回が初めてだ。

 中国空軍の申進科報道官は25日、中国メディアに対して「偵察・監視や空中給油などの訓練を実施し、空軍の遠海実戦能力をテストした。空軍は戦略転換の過程で能力を高め、国の空の安全を守る」と強調した。

 中国空軍による西太平洋での演習は2015年3月、南シナ海から西太平洋に抜ける軍事戦略上の要衝であるバシー海峡の上空を抜けて実施したのが初めて。その後わずか1年半の間にバシー海峡経由と宮古海峡経由で合計6回の演習を行ったことになる。「西太平洋での活動拡大が想定よりも早く進んでいる」とみる向きがある。

 中国空軍は15年に発表した国防白書で、国土防衛に重点を置いた従来の方針から「攻防兼備」への転換を打ち出した。国土防衛ラインとしてきた九州―台湾―フィリピンを結ぶ「第一列島線」から外の領域での活動を増やすことを意味している。今回の演習もこの方針に基づくもので、今後も同様の軍事行動が続くとみられる。

 菅義偉官房長官は26日の記者会見で「警戒監視に万全を期すとともに、国際法や自衛隊法に従って厳正な対領空侵犯措置を実施していきたい」と述べ、警戒感を示した。

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