はじめに
人間、生きていると、それはムカッとすること、結構あります。家族に、同僚に、部下に、上司に、店員に・・・
イラッとするモードに一度突入すると、これがなかなか抜け出せません。後の仕事にも少なからず影響し、非生産的といったらありません。
もちろん「怒りをバネ」にやる気が出るという方もいらっしゃるでしょうが、わたしを含め「短気は損気」と考えている方が多いのではないでしょうか。
ことわざにも、以下のように
癇癪持ちの事破り/急いては事を仕損じる/短気は未練の初め/短気は身を滅ぼす腹切り刀/短気も我、後悔も我/短慮功を成さず/腹は立て損、喧嘩は仕損
と、昔から「腹を立てると損するよ」というのが通説のようです。
サッカーを例にしても、最近は大久保選手の頭突き退場で首位陥落、金崎選手が監督にキレて代表落ち、古いところではジダン選手の頭突きでW杯決勝敗退など・・・ 損の大きさは計り知れません。
仕事や家庭でも、あそこでグッとこらえてれば・・・ ということ結構ありませんか?
でも、怒りをグッとこらえて溜め込むのも身体に良くないようです。
感情を表に出さない人は早死にするリスクが35%高いと判明
米ハーバード公衆衛生大学院とロチェスター大学がおこなった調査によると、日頃から感情、特に怒りを押し殺している人は、そうでない人に比べて若くして死亡する確率が約35%も高いことがわかったそう。死亡原因別では、心臓関連の病気が47%増、がんが70%増となっていたという。
引用-IRORIO
こうなると、もはや八方ふさがり。怒ると損だけど、我慢しても損というわけです。
さて、わたしも若い頃は血の気が多い方でした。思春期には家の壁に穴を開け、社会に出ては上司と大げんか、道路に出れば割り込む車にクラクションと、恥ずかしいかぎり。
でも今は別人です。昔を知る人に言わせれば、まるきり180度人間が変わったと。自分でもはっきり分かります。
どうやって変えたのでしょうか。
今日の記事では、怒りっぽいわたしをカームで生産的な人間に変えてくれた4つのアイテムをご紹介したいと思います(前置きが大変長くなり申し訳ありません)。
アンガー・マネジメント
アメリカで成功しているエグゼクティブは、アンガー・マネジメントを取り入れている。
わたしの人生を一変させるきっかけともなった本。それが、「アンガー・マネジメント」という認知行動療法の本です。
この本の何がいいのでしょうか。
それは、根性で怒りを抑えるとかではなく、自分自身の怒りのメカニズムを論理的かつ簡単に分析させ、怒りの元となる考えを調整するよう助けてくれるところにあります。
たとえば、自分の「怒りのトリガー」を知ること。
自分にとって怒りの引き金を知り、そういう状況をあらかじめ予測したり避けることを覚えます。
怒りのトリガーと言われて思い出すのが、映画バック・トゥ・ザ・フューチャーです。主人公のマーティンが宿敵ビフに「チキン」と言われた瞬間、プチッと切れて損をする。
自分がムカッとしてしまうのはどんな時か。捨て台詞を吐かれた時か、期日が守られない時か、割り込まれた時か…
どんな時に自分は腹を立てやすい(トリガーになる)のかを理解している。それだけでも、だいぶ違うと思いませんか?
また、こんな怒りのメカニズムも自分のパターンに当てはめて考えることが可能になります。
- 一例:よくある怒りのパターン
1.クルマが割り込んできた <事象>
↓
2.ズルはダメだ。報われるべきでは? <解釈と意味づけ>
[ここで、怒らないタイプの人は、この人は急いでいるのかな? などと考える]
↓
3.ズルは許されない。割りこませるものか。 <怒り>
↓
4.車間距離を詰める。 <行動>
↓
5.場合によっては事故になる。<結果>
あなたの運転の目的は制裁をすることだったのでしょうか。それとも、目的地に着くことだったのでしょうか。
と、このように、自分の怒りがいかに非合理的かを知るための論理的な思考力が身につくのです。
このように本書は、自分の怒りをマネジメントするうえで「体幹」のような役割を果たしてくれる、基本の基本になる教科書です。
元日本代表の前園選手はこのアンガー・マネジメントを実践し、社会復帰ができたようですが、テニスのフェデラー選手や歌手のジャスティン・ビーバーのように、アンガー・マネジメントを学んでも、怒りをコントロールできない人もいます。*1
実はわたしもそうでした。
でも、なぜだろう。まだ我慢できるときと、出来ないときがありました。
分析してみると、自分のまだ知らない怒りのトリガーがあり、それを回避する方法や、シミュレーションする能力が身についていなかったというわけです。
そんなとき、次に出会った素晴らしい本をご紹介したいと思います。
現在、上記の「アンガー・マネジメント」が在庫薄のため、中古本が高騰しているようです。2016-09-07には同じ著者から文庫本で「アンガーマネジメント入門」という本が発売されるようです。おそらくメソッドは同じものだと思います。単行本が再版されるまで、こちらのリンクも貼っておきます。
Item for Keep Calm / 2
対人関係療法
怒りを生む「典型的なパターン」と「腹の立たない受け取り方」を知るだけで、怒りが消える不思議な本
先ほどの本が基本書だとすると、こちらの本は「実践マニュアル」です。徹底的にシミュレーションするのに役立ちます。
この本で分かるのは、日本人が怒るパターンというのは、だいたい似ているんだなぁということ。そのうえで、
怒りの典型的な発生シーン26場面を再現し、その時にしてしまうどんな思考パターンが怒りに発展させ、どんな思考パターンが怒りではない感情にさせるのかを教えてくれます。
つまり、まだ出会ったことのない怒りのトリガーを知り、コントロールする方法をシミュレーションで示してくれるのです。
そうすることで、怒りの発生シーンを客観的に観察し、怒りにならない認知法を取得できるのです。
とにかく、共感、共感、共感の連続です。目からウロコというか、気づきだらけの一冊です。
わたしは、腹立たしくなったら、できるだけ早めにこの本を読み返すようにしています(Kindleアプリで読んでいます)。わたしが腹を立てるシチュエーション(この5年くらいで遭遇した中)での出来事は、すべてこの本の事例に書いてあるからです。
最初から怒る気持ちにならない人になれる本
この本を読んでからというもの、今までの自分なら怒るはずの事象が、もはや怒るような問題ではなくなります。怒りはスーッと消えていくのです。
なるほどなぁと思った文を引用したいと思います。
DV男性が「お前が俺を怒らせたんだ」というものがあります。しかし、実は私たちは「他人を怒らせることはできません」。
怒りというのは、「自分の領域で起こる感情」であり、自分が怒っているに過ぎないのです。相手に怒りをぶつける、怒りを煮え立たせるというのは、自分自身が選択しているだけなのです。
(本文から引用)
そうなんです。怒りは自分だけのもので、他人の行動とは本来無関係な感情なのです。だから、同じ出来事に遭遇しても、腹を立てる人と立てない人がいる。腹を立てる人はわざわざ自分で選んでいる。
アメリカのエグゼクティブが必至にアンガー・マネジメントを取り入れる理由が分かります。どんなに素晴らしい能力があっても、怒りがコントロールされなければ、構築してきた実績をぶち壊してしまうリスクを持っていますし、組織の生産性にまで影響してしまうのです。
この本と出会ってからというもの、わたしは相手の言動に対し、すっかり「とらえ方が変わり」ました。
たとえば、苦情ばかり言う嫌な仕事仲間に対しては「よく考えると、これはわたしへの苦情ではなく、今日もパツパツで困っているんだな。よしよし」と思えるようになりました。
腹の立つ出来事も、視点を変えると同情してあげられるようになる。
もちろん、相手に問題を指摘しなければならない場面もあります。でも、怒りに任せるのではなく、冷静に考えてからクレームや問題を指摘できるようになりました。
というわけで、この2冊でも十分幸せになれます。が、わたしの場合、トコトン怒りという感情を消したくなりまして、反射的にやってくる怒りや、生理的な怒りにも対処したくなりました。
それには、どう対処したらいいのでしょうか。反射的な怒りや生理的な怒りは、とらえ方次第では解決できません。
Item for Keep Calm / 3
システマブリージング(ロシア軍特殊部隊の感情コントロール法)
身体的アプローチで怒りをコントロールしてしまう。しかも一瞬で。
システマブリージング(システマ呼吸法)とは、ロシア軍の感情コントロール法のひとつです。
そんな、レベルの高そうなことは凡人には無理。そう思うかもしれません。
でも実は、非常に簡単なんです。
このブリージング(呼吸法)のすごいところは、戦場という究極の緊張下で、瞬時に感情を平常心に持っていく目的で開発されました。
ですから、普段は普通の呼吸で大丈夫。生理的に怒りがこみ上げてきたときに、一瞬だけ呼吸法システマブリージングに切り替えればOK。努力はまったくいりません。
これまで、様々な呼吸法を試してきましたが、このロシア軍特殊部隊の呼吸法「システマブリージング」が一番簡単で、現実的な呼吸法です。
やってみると、数秒でリラックスできます。
あくまでもわたしの場合ですが、この呼吸法をするとすぐに「あくび」が出ます。つまり、一瞬で緊張がほぐれてしまうのです。あくびしながら怒る人はいないと思います。
逆に言うと、怒りを表現しようとする時は、全身の筋肉が緊張した状態になっているということです。
この「システマのブリージング」と「怒りのコントロール」を関連付けて解説した良書がありましたので、紹介しておきたいと思います。「人はなぜ突然怒り出すのか?」という本です。
- この本では、システマのブリージングのメカニズムはもちろん、
「怒れる自分から自分を守る」
「怒れる他者から自分を守る」
「怒れる自分から他者を守る」
「他者の怒りから身近な人を守る」など、 - 興味深いのは、他者を怒りから守る方法も学べるところです。もちろん、戦わずしてです。
このシステマブリージングは、最初の2つの行動療法とは怒りに対するアプローチが全く異なります。
システマのブリージングの考え方は、怒りを精神の問題ではなく、身体の問題とみなすことです。
というわけで、2つの行動療法と呼吸法を組み合わせれば、怒りに対するコントロール力は相当なレベルの高さに達します。わたしの場合、ほぼパーフェクトに怒りをコントロールできるようになりました。
でも、脳というのは不思議なもので、周りの環境などがストレスフルだと、これまでの3つの方法がうまくいかないときがあります。
そして、ある日出会ったのです。
Item for Keep Calm and Carry / 4
アセチルコリン
人間の認知(とらえ方)機能はコリンの量と深い関係がある。
サプリオタクということもあり、コリン(卵に多く含まれる栄養素)は、脂肪肝にいいということで、飲み始めました。
ところが、これを飲み始めた日から、なんか怒りの芯のようなものをスーッと抜かれた気がしたのです。なんだろう・・・ という感じでした。実感はそれくらいでした。
以来、うれしくなって、1日に3回飲んでいます。もう、1年毎日欠かさず続けていますが、些細なことでも、大きな問題でも腹が立ちません。
なぜでしょう。分かりません。
でも、ちょっと気になる情報があったので、ご紹介したいと思います。
それは、抗コリン作用のある薬*2を投与されると、記銘力や注意力の障害、せん妄を誘導すること*3が知られています。
また、高齢者の認知症の発症リスクが抗コリン薬を3年超服用することで1.5倍になることが分かっています*4。
簡単に言うと、脳神経伝達物質であるアセチルコリンをシナプスで取り込めないようにすると、せん妄誘発や認知機能の低下を生じるということです。
では、脳内のアセチルコリンを多くすると、どうなるのでしょうか。認知(物事のとらえ方)機能は上がるのでしょうか。分かりません。
コリンはアセチルコリンの前駆体です。わたしは、コリンを飲んでから1年経ちますが、些細なことでも、大きなことでも腹がたちません。
すごく疲れているときに刺激されても、多少イラッとはしますが「ごめんね、また明日話しを聞くよ」とその場をうまく収めることができます。あくまでも、わたしの場合です。
いずれにせよ、わたしにとってコリンは手放せないサプリです。
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なお、各サプリメントの購入はAmazonもいいですが、2つ以上購入されるなら、アメリカのサプリメント通販大手である「iHerb(アイ・ハーブ)」が安くて、早く、高品質なのでオススメです(日本語、日本円対応、ヤマト、佐川を選べます)。各サプリの写真を押すと、iHerbのページに飛べます。iherbは消費税0%、また、次回の注文時には、前回購入金額の 10% が割引されるなどお得です(期間限定)。また、はじめてiHerbを利用される方は5%OFFになるなど(カート内の割引欄にあるコードを入力)、定期的に利用するなら断然iHerbがオススメです。
※この記事により発生したトラブルや損失、損害に対して、一切責任を負いません。この記事は、タイトルも含め、あくまでもわたし個人の体験記、感想文であり、効果や効能を謳ったり、保証するものではありません。各療法の実践、サプリの個人輸入や服用は自己責任でお願いいたします。
※現在なにかの疾患で病院に通っている方。特に、うつ病やうつ症状で怒りの症状が出ている場合は、このコントロール法を行わず、医師の指示にしたがってください。