ずっと受け継がれていく“定番”。
こんな商品を生み出せたらいいですよね。
世の中の定番を新たに
生み出だそうとしている『THE』。
その立上げメンバーは次のお三方です。
『くまモン』のデザインでおなじみ、
good design companyの水野学さん。
本ウェブマガジンにも以前登場していただいた
伝統工芸界のカリスマ中川淳さん
(中川政七商店13代目)。
そして『富士山グラス』をデザインした
PRODUCT DESIGN CENTERの鈴木啓太さん。
この豪華な面々から、
“定番”について話を伺ってきました。
●定番とは何か?
― 「ホームランは狙って打てるのか」
みたいな話ですが、
はたして“定番”は狙って作れるものでしょうか?
水野:狙ってやっています。
ただ定番というのは、
時間が経ってはじめて定番だと
分かるものだと思います。
「定番を目指して作ること」×
「定番と認められていくための時間」です。
なので、私たちは
“作る”にベストを尽くしています。
中川:そういう意味では、
定番は「作る」ものではなく、
定番に「なる」ものなんでしょうね。
― 作っている段階では、
定番になるかどうか分からない
ということですか?
水野:一過性のものと定番で、
雰囲気の違いのようなものはあると思います。
芸人さんでも、いわゆる一発屋で終りそうか、
長く残りそうかは
最初からなんとなく分かるじゃないですか。
― では、定番となるために
外してはいけないポイント
みたいなものはありますか?
鈴木:僕らの場合、
5つの基準を設けています。
形状、歴史、素材、機能、適価です。
商品開発では、これら1つ1つの要素が
これからの定番に相応しいかどうかを
繰り返し議論しています。
― 成果のほうはいかがでしょうか?
水野:売上は尻上がりに伸びています。
中川:とにかく、商品にハズレがないのが特徴です。
手堅く売れてくれています。
ただ、定番というものは、
売る立場の人間からすると売りにくいのですよ。
― そうなのですか!?
定番を持てたらおいしいと思うのですが。
不良在庫にもならないし・・・
中川:もちろん経営者は
「10年20年と売れ続けたらいい」
と思っています。
でも、実際はそう簡単には売れません。
たとえば、定番になりうるシンプルなグラスと、
特徴のある変わったグラスが二つ並んでいたら、
お客さんはまず後者に目がいきますよね。
― たしかに。
それでもあえて
定番に挑んでいらっしゃるのですね。
●良いものよりもスタンダードを作りたい
― 『THE』は、どういうきっかけから
スタートしたのですか?
鈴木:僕が、水野さんとある仕事で
ご一緒したのがきっかけです。
水野:「おしゃれに疲れた」
なんて話をしていました。
そのとき啓太(鈴木さん)が、
オーソドックスなグラスを作りたい
と話を持ちかけてきて、
「面白い!」と。
それで、どうせやるなら
自分たちでリスクを負って、
作って売るまでやろうということに。
鈴木:おもしろいとか、
かっこいいは今の世の中には
たくさんあります。
でもそうじゃない、
毎日使いたいと思う、
普通に使えるものが欲しいと思いました。
―それから中川さんが?
中川:はい。
僕を金づるにしようとして、
二人が声をかけてきました(笑)
水野&鈴木 いやいや!!(汗)
水野 私たちデザイナーは
販売力があるわけではありませんが、
中川さんは経営と販売のプロ。
経営のプロ、プロダクトデザインのプロ、
クリエイティブディレクションのプロが
タッグを組んでものづくりをしているのが
『THE』なんです。
― どんな商品作りを
目指していらっしゃいますか?
水野:僕たちは単に良いものを
作ろうと思っているのではありません。
もちろん最善の製品を作る努力を最大限していますが、
ただ良いものよりも、
スタンダードを作りたいと思っているのです。
たとえば、コップを思い浮かべるとき、
THEのコップが頭に思い浮かぶように
なればいいな、と。
ゼロとか、原点を作る、
に近いところでしょうか。
評価軸を作るというプロジェクトなのです。
― なぜ、そのような取り組みをしようと?
水野:差別化という言葉が流行っていますが、
私は差別化の行き過ぎを感じています。
60年代から70年代は
大量生産・大量消費で同じものが溢れていました。
そして消費者がその状況に飽きるようになると、
今度は、企業が消費者を追いかけて
一生懸命差別化をしようとしてきました。
その結果、世の中に『普通』が
無くなってしまったのが今だと思うのです。
鈴木:水野さんは、この状況を
『市場のドーナツ化』と呼んでいますね。
― THEの取り組みは、
基本に戻そうというものですね。
なにか、そうすべき危機感のようなものを
お持ちなのですか?
水野:例えば、
ジーンズ大手の某E社が潰れたことです。
同社には定番的なアイテムがありましたが、
「変わったものを作らなければ」という
焦りを私は感じていました。
しかし、変わったジーンズという領域では、
すでに別の強力なライバルがいたわけで・・・
―あまり消費者のお尻を
追いかけ過ぎてもいけない、と?
水野:ええ、そうです。
過度なマーケティングへの
疑問から生まれたのが『THE』と、
言えるかもしれません。
― そういうことですか。
みなさん、貴重な時間を
ありがとうございました。
【THEのアイテムの紹介】
続いて、こんな考え方から生まれた
『THE』のアイテムを
紹介していただきましょう。
①「THE GLASS」
最もグラスらしいグラスとは何か。
徹底的に考察しました。
形状は
持ちやすく、
飲み口の当たりが良く、
洗いやすいこと。
スタンダードで長く使えること。
素材は
丈夫で割れにくく、
日常の中でストレスなく使えること。
注いだものがおいしそうに見えること。
容量は
最もスタンダードと呼べる大きさは何かと考えた結果、
ショート・トール・グランデの
3サイズ展開に至りました。
つまり、大規模展開しているあのコーヒーチェーンのカップと
同じ形状、容量。このサイズこそが、
万人共通のスタンダードであり、フォルムであり、
最も使いやすく、
生活に馴染むグラスであると考えたのです。
『THE GLASS』は、
耐熱ガラス(耐熱温度差120℃)を
贅沢に極限まで厚く用いることで、
割れにくく、軽く、電子レンジや食器洗い機でも
使えるグラスを実現しました。
②「THE LUNCHBOX」
日本の食文化のひとつ、「お弁当」。
お弁当箱におけるTHEとは何でしょうか。
樹脂製のお弁当箱が増えた昨今ですが、
『THE LUNCHBOX』の素材は、
敢えてアルミを選びました。
軽くて丈夫。表面の酸化膜によって、
プラスチックに比べ傷が付きにくい性質を持っています。
そのため、傷に細菌が入りこみにくく衛生的。
腐食も殆どありません。
一般的なアルマイトの弁当箱よりも底面積を小さくし、
その分高さを出すことで、
持ち運びしやすくカバンの中でも
邪魔にならない形状を実現しました。
容量は375ml。お子様は一つ、
大人はご飯用とおかず用で二つ使って頂くと
ちょうどいいサイズです。
また、通常のアルマイト弁当箱よりも
上蓋を長くすることで蓋を外れにくくし、
汁漏れなどが起きにくい設計にしました。
蓋の開閉が非常にスムーズなのも特長です。
【お知らせ】
『THE』のアイテムは、ショップ、
または、中川政七商店公式通販サイトから
お求めいただけます。