渡辺謙「怒り」上映後1800人からお見送り「こんなに感動したの初めて」

2016年9月26日6時0分  スポーツ報知
  • 観客のお見送りセレモニーを受け、誇らしげな渡辺謙(左)と李相日監督

 【サン・セバスティアン(スペイン)=安室朝雄】俳優の渡辺謙(56)が主演する映画「怒り」(李相日監督、公開中)が24日(日本時間25日)、第64回サン・セバスティアン国際映画祭のコンペ部門に出品された。日本映画初の最優秀作品賞は逃したが、観客の評価は高く、渡辺と李監督は充実感たっぷり。前夜(23日)の公式上映後、観客が出演者や監督を送り出す同映画祭恒例のセレモニーで約1800人が熱い拍手を送り、渡辺は「こんなに感動したのは初めて」と大興奮だった。

 次々と各賞が発表されていく中、渡辺と李監督は劇場の客席で、その瞬間を待った。欧州では世界3大映画祭(カンヌ、ベネチア、ベルリン)に次ぐ格を誇る同映画祭のクロージングセレモニー。スペインの国営放送が中継し、特別招待作品に出演した米俳優リチャード・ギア(67)も出席した。最優秀作品賞が中国の「I Am Not Madame Bovary」と告げられると、2人は拍手で祝福した。

 賞を逃しても悔しさはない。渡辺は「今は賞には思いは至らないですね。“あれ”に勝るものはないですよ」と笑顔を見せた。“あれ”とは、恒例のお見送りセレモニー。23日の「怒り」の公式上映では満員の観客1800人が花道を作り、劇場を出ようとした2人を熱い拍手と指笛でたたえた。「ブラボー!」。あちこちから大きな声が上がる中、階段を下りて振り返ると、ファンに囲まれた。

 同映画祭の観客はシビアなことでも知られ、面白くないと思った作品はすぐに席を立って帰ってしまうこともよくある。ベネチア、ベルリンなど海外映画祭の経験も豊富な渡辺は「熱い気持ちを受け止めたまんま、こっちに戻してくれたというか。感動しましたね。この映画に関わった全員にこの光景を見せたかった」。李監督も「映画を体感した人たちの思いがダイレクトに伝わってきて、僕も謙さんもヤラれました」と興奮を隠せなかった。

 日本からほぼ丸一日かけて現地入りし、会見では現地のバスク語も交えながら、スペイン語で「人生と同じく複雑で悩ましい作品ですが必ず心のどこかに響く作品だと思っています」と訴えた。ホテルではギアと談笑する一幕も。「『いつまでいるの?』とか『楽しんでる?』みたいな世間話ですよ」。ハリウッド俳優らしい風格も見せた。

 「映画を作ってる人間としてモチベーションになる瞬間でした。また来たいですね」。スペインでつかんだ手応えを胸に次の一歩を踏み出す。

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