東京・新宿歌舞伎町のイタリアンレストランが「男性のみの入店」を禁止していたことがツイッター上で炎上し、店側は、J-CASTニュースの取材に対し、「誤解を招いた」として看板を撤去したことを明らかにした。
問題の店は、歌舞伎町・一番街の入口から少し行ったところにある、「コン・テラッツァ新宿」(2016年7月6日に開店)。
炎上の元になった「コン・テラッツァ新宿」の看板(J-CASTニュースより引用)
男性を示すマークの上に「×」印があり、1人でも複数でも入店は遠慮してほしいとあった。その一方、女性のみや男性の女性同伴の来店については、「◎」印が付いている。
騒ぎのきっかけは17日に投稿されたツイッターで、投稿主は、看板の写真をアップして、「男はイタリア料理食べる権利もない時代きてんのな!」と不満を示した。さらに、「女がいないと男は他人に迷惑をかけるって見解なのかな。場所柄外国人も多いし、そういう国だと誤解されるのはやだな...」などとつぶやいた。
店が食べ飲み放題のイタリアンバイキングであることから、男性だけだと食べすぎで採算が悪くなると考えたのではないかともこの投稿主は推測した。
投稿主のツイートは、2万件以上もリツイートされており、ツイッターのまとめサイト「togetter」でも取り上げられている。その書き込みを見ると、「これは酷い」「男には住みにくい世の中になってきたな」などと疑問や批判が相次いでおり、男性差別ではないかといった意見があった。性同一性障害の人も入店できないのかとの指摘もあった。
一方で、「店に客選ぶ権利がある」「これは男が女を誘えるツールとなるのでむしろ喜ばしい」と前向きにとらえる声も出ていた。
「男性のみお断り」については、店のフェイスブックや情報サイト「ぐるなび」の店紹介などでも、明確に示されており、「日本初!男性のみの入店お断り!女性に優しい食べ飲み放題イタリアン」「男性の目を気にせず心行くまで満足したいという要望にお応えします」とうたってあった。
「コン・テラッツァ新宿」の店を運営する新宿メトログループ(東京メトロとは無関係)では、9月20日夕になって、広報担当者が取材に対し、「歌舞伎町は、男性が多いイメージがあり、女性がお店に入りづらいことから、気軽に入れるようにと考えました。男性差別という認識はまったくなく、性同一性障害の方ももともと断るつもりはありませんでした。男性はバイキングで食べすぎるからという意図もないです」と説明した。
ただ、電話などで様々な意見が寄せられ、誤解も招いているとして、20日から「男性のみ」でも入店できるようにしたことを明らかにした。これまでに、「男性のみ」を巡るトラブルは聞いていないという。
コン・テラッツァ新宿の店長は20日夕、取材に対し、運営会社の意向を受けて看板を撤去したと話した。フェイスブックなどの店紹介も、今後修正するとしている。
(J-CASTニュース 9月21日(水)7時30分配信より引用編集)
◆深読み、店は客を選べるのか
今回の騒動、またしてもSNSに端を発し、大勢の意見が世を動かすことの好例となったようだ。大部分の意見は、男性のみの入店お断りは行き過ぎとの見方であり、多くの男性にとってはこのような措置は不公平に感じることから、店側の入店制限撤回は当然の対応と考える人も多いだろう。しかし、店側にとってみれば、女性客が多い店=料理がおいしいから女性客が多い=よいお店、とのイメージを定着させたいという狙いが見て取れるが、それ自体は特段非難されることはないイメージ戦略だ。実際、女性にお得な値引き設定をしたり、女性優待サービスを設定したりする店は多い。これらも、女性にひいきにされる店=よいお店、のイメージを獲得したいからに他ならない。
では、なぜ今回ツイッター上で炎上したのか?
それは、やはり立て看板で明確に男性入店お断りを堂々と掲げたことが、あまりにも露骨すぎると同調する人が多かったからに他ならない。つまり、メニューが充実してコスパがよく、料理がおいしいという評判の結果、女性客が多くなるのが自然であり、店側もまずは料理のおいしさで勝負する努力をすべきなのに、これらの手間をすっ飛ばして、男性お断りにして女性客を定着させ、よいお店のイメージを手っ取り早く獲得しようとしたところが、多くの人たちが自分では気付かないがなんとなくインチキ臭く感じたことで、爆発的に拡散し炎上に繋がったのではないかと分析できる。
また、男性としても、たとえ女性優遇の看板がなく、入店規制がないとしても、店に入った瞬間、客が女性ばかりだったとすれば、そこに男性だけでノコノコ入って行こうとは、普通の大人ならまず思わないだろう。席に着いてから、周りの女性の痛い視線に耐えられないと考え、入り口でUターンするに違いない。
要するに、店側は、多少の女性優遇は許されるとして、今回のような露骨な入店規制はやるべきではないだろう。そんなことをしなくても女性が口コミで入ってくるような「よいお店」になる努力をすべきである。
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