米露、非難の応酬 停戦交渉に期待つなぐ
【ニューヨーク國枝すみれ】シリア政府軍の空爆で200人を超える犠牲が出た北部アレッポ情勢をめぐり、国連安全保障理事会は25日、緊急会合を開いた。反体制派を支援する米国とアサド政権の後ろ盾となっているロシアが互いに非難した。
米国のパワー国連大使は「ラブロフ露外相が安保理で平和を訴えた翌日、ロシアとアサド政権がアレッポ東部で雨のように爆弾を降らせた」と述べ、「ロシアを信頼することはできない」と強調した。また、常任理事国であるロシアの反対で安保理が効果的に動くことができないとし、「ロシアは拒否権を乱用している」と激しく批判した。
これに対し、ロシアのチュルキン国連大使は「アレッポ市民はテロ組織の人質だ」と反論。アレッポ東部地区には国際テロ組織アルカイダ系の過激派組織「ヌスラ戦線」(シリア征服戦線に改称)を含む350の反政府武装勢力がおり、シリア政府を攻撃していると主張。こうした状態で「平和を達成することはほとんど不可能だ」との見方を示した。
ただ、会合後には記者団に「米露合意はまだ死んでいない」と言い残し、今後の停戦交渉に期待をつないだ。
一方、シリアのジャファリ国連大使は、緊急会合を招集した米英仏について「穏健派の反政府組織を装った武装テロリストを救おうとしている」と批判した。