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【いま読む日本国憲法】

(27)第41条 立法機関を権威付け

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 二十六日に召集される臨時国会では、消費税増税を再延期する関連法案など、さまざまな法案が審議されます。日本国憲法四一条から六四条までの第四章は国会に関する条文が並んでいます。四一条は、立法権が国会に属すると規定。行政権は内閣に属すると定めた六五条、司法権は裁判所に属するとした七六条一項とあわせて、「三権分立」の根拠となっています。

 旧憲法下の帝国議会は天皇の協賛機関にすぎず、立法権も天皇に属していました。国民主権を柱とした現憲法では、国民の代表者で構成される国会こそ「国権の最高機関」だと四一条で宣言し、権威づけしているのです。

 自民党の改憲草案も、四一条は現行憲法とほぼ同じ表現です。

 四一条は、国会が「唯一の立法機関」とも定めています。ただ、成立する法律は、国会議員が提出したものより内閣が提出したものの方が圧倒的に多いのが現状です。二〇一五年に国会議員が提出した法案は七十二件で、このうち成立したのは十二件(成立率16・7%)。これに対して内閣が提出した法案は七十五件で、成立したのは六十六件(同88%)でした。

 国会議員の立法活動を制限する法律や慣例があります。国会法は、議員が法案を提出する場合、予算が必要な法案は衆院五十人以上(参院二十人以上)、予算を伴わない法案は衆院二十人以上(参院十人以上)の賛成者が必要と規定。各党の役員の同意がない法案は、衆参両院の事務局が受け取らないのが慣例です。

 国会の憲法論議の中では、こうした議員立法を縛るさまざまな条件を緩和して、議員の立法活動をより活発にするべきだという意見も出ています。

 ◇ 

 憲法の主な条文についての解説を、随時掲載しています。

◆自民党改憲草案の関連表記

 国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。

 

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