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プーチン党圧勝 安定をどう生かすのか

 ロシアのプーチン大統領が、2018年の次期大統領選に向けてさらに政権基盤を固めた。

     欧米の対露制裁や原油価格の低迷のため経済が落ち込む中で行われたロシア下院(定数450)選挙で、政権与党「統一ロシア」が苦戦の事前予想を覆し、改選前から大きく勢力を伸ばして圧勝した。中央選管の発表によると、単独で憲法改正が可能となる3分の2を上回る史上最多の343議席を獲得した。

     プーチン氏は、国民が苦しい生活の中でも「安定を求めている」ことの表れだとしている。この結果を、今後の政権運営にどう反映させていくのか注視したい。

     前回11年の下院選挙では、投開票時の不正発覚から全国的な抗議デモが起きた。だが、今回はそうした兆候は見られない。

     政権は周到に準備を重ねてきた。選管委員長に人権活動家のパンフィーロワ氏を据えて不正取り締まり強化の姿勢を見せる一方、反体制派の政治家を立候補させず、政権に批判的な民間機関の活動も抑え込んだ。

     その結果、投票率は史上最低の47・88%にとどまった。選択肢の乏しい「管理選挙」が、政権与党の得票率を引き上げたとも言える。少数派の意見を排除した情報統制も考慮すると、選挙結果の正当性には疑問を抱かざるを得ない。

     それでも、なお国民の間で根強いプーチン氏への高い支持が選挙結果に反映されたことは否定できない。米欧の圧力に対抗して大国の誇りを守ろうとするプーチン氏の政治姿勢に多くの国民が共感し、米欧の対露制裁が逆に危機感から国民を政権の下に結束させたという分析もある。

     ロシアは国際社会の重要なプレーヤーであり、多くの問題の解決に重い責任を負っている。しかし、ウクライナ南部クリミア半島を一方的に編入し、ウクライナ東部の紛争も凍結状態にさせたままだ。解決を求める国際社会の関心をそらそうとしているのであれば許されない。シリア内戦では、人権弾圧が批判されるアサド政権を支援して米欧と対立し、影響力の確保を図ろうとしている。だが米欧との協調なしに内戦を終結に導くことはできないだろう。

     プーチン氏には、ロシア国民の支持を国際社会の安定に生かしていくことが求められる。いたずらに米欧との対立をあおり続けることはもうやめて、世界の緊張緩和に努めるべきだ。結果として対露制裁が緩和されれば、国民の生活向上にもつながるはずだ。日本との関係でも、北方領土問題の解決に向けて国民の理解を得る努力を望みたい。強化された政権基盤と強い指導力を、誤りなく行使してほしい。

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