【ジョン・ミッチェル特約通信員】米国家安全保障局(NSA)が沖縄を諜報(ちょうほう)活動の「最前線」と位置付け重視していることが、エドワード・スノーデン元米中央情報局(CIA)職員が持ち出した内部文書で分かった。読谷村の旧楚辺通信所(通称・象のオリ)が通信傍受で得た情報は、ハワイの拠点に集まる情報の大半を占めたと記述している。象のオリは現在、キャンプ・ハンセンに移設され、運用されている。
文書は「SID(信号諜報局)トゥデイ」と題されたNSA内部の情報紙。極秘扱いで米、英、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国だけで共有されていた。2003年6月に沖縄発の記事が掲載されている。
記事によると、沖縄に駐留しているのは「国防通信沖縄支隊」。象のオリで収集した情報を在沖の「米軍、国務省、その他の情報機関構成員」や、世界に三つしかないNSA地域拠点の一つ、ハワイのクニア地域信号諜報作戦センターに伝えていた。
記事は在沖米軍関係者による交通事故や事件が「大げさに取り上げられ、日米両政府の当局者間で議論になることが多い。そのためより特化した信号諜報が要求される」と分析している。沖縄の人々が傍受の対象とされていたかには触れていない。
象のオリは「少数の民間人と数人の政府職員」で運営されていたという。06年、SACO合意に基づいてハンセンに移設され、日本政府が経費約240億円を負担した。03年12月のSIDトゥディは、基地の奧にある新施設について「より目立たない」と利点を強調している。
SIDトゥデイはことし5月と8月、スノーデン氏の秘密ファイルを扱うニュースサイト「インターセプト」で公開された。
NSAは国防総省の情報機関。昨年、日本の経済産業相、日銀総裁らの電話を盗聴していたとの機密資料が内部告発サイト「ウィキリークス」に暴露された。