ワシントン条約会議 「ウナギの国際取引」実態調査を採択
k10010706721_201609260514_201609260515.mp4
世界各地でウナギが減少するなか、南アフリカで始まったワシントン条約の締約国会議では25日、EU=ヨーロッパ連合が「ウナギの国際取引をめぐって不透明な部分があって乱獲なども招いている」としてその実態調査を提案し、全会一致で採択されました。世界最大の消費国の日本も、資源管理が適切に行われているか改めて問われることになります。
絶滅のおそれがある野生生物の国際取引を規制するワシントン条約の締約国会議は、南アフリカのヨハネスブルクで開幕し、25日には、世界的なウナギの資源保護に向けて議論が行われました。
ウナギをめぐっては、日本など東アジア地域に生息する「ニホンウナギ」をはじめ、世界各地で生息数が減少し、絶滅のおそれが高まっています。こうした中、会議で、EUは、「世界的にウナギの国際的な取引に不透明な部分があり、乱獲なども招いている」と指摘し、ウナギの漁獲量や流通など国際取引の実態調査を提案しました。
これに対して日本政府の代表は、「日本は、ニホンウナギの持続的な利用について、大きな責任を負う。調査には協力したい」と述べ、ほかの国からも支持が表明され、全会一致で提案が採択されました。
ニホンウナギは、河口や沿岸で取れた稚魚を養殖して出荷していますが、稚魚の一部はどこで取れたかわからない状態で取り引きされている実態が指摘されており、世界最大の消費国、日本としても資源管理が適切に行われているか改めて問われることになります。
ウナギをめぐっては、日本など東アジア地域に生息する「ニホンウナギ」をはじめ、世界各地で生息数が減少し、絶滅のおそれが高まっています。こうした中、会議で、EUは、「世界的にウナギの国際的な取引に不透明な部分があり、乱獲なども招いている」と指摘し、ウナギの漁獲量や流通など国際取引の実態調査を提案しました。
これに対して日本政府の代表は、「日本は、ニホンウナギの持続的な利用について、大きな責任を負う。調査には協力したい」と述べ、ほかの国からも支持が表明され、全会一致で提案が採択されました。
ニホンウナギは、河口や沿岸で取れた稚魚を養殖して出荷していますが、稚魚の一部はどこで取れたかわからない状態で取り引きされている実態が指摘されており、世界最大の消費国、日本としても資源管理が適切に行われているか改めて問われることになります。
専門家「日本への警告」
EUが提案した「ニホンウナギ」など世界各地のウナギの国際取引や漁獲をめぐる実態調査が認められたことについて、専門家は、日本が世界最大の消費国でありながら、不透明な国際取引の問題を解決できないことへの国際社会の警告だと指摘しています。
日本国内での養殖用に輸入されるウナギの稚魚は、およそ8割が香港からのものですが、その香港で稚魚の漁は行われておらず、稚魚がどこでとられたものなのか、不透明な状態となっています。ウナギの業界団体によりますと、香港経由で日本に入る稚魚の多くは、輸出が禁じられている台湾などからのものとみられ、水産庁もこうした問題のある取り引きが存在することを認めています。
こうした中、EUは、「不透明な国際取引がウナギの乱獲を招いている」として、ウナギの最大の消費国、日本を含めた国際取引の実態調査を提案しました。提案の中で、EUは、「ニホンウナギ」について、生息地である日本などの東アジア地域で、漁獲や国際取引について実態の把握が十分に行われていないほか、違法な取引が行われている懸念もあると指摘しています。
こうしたEUの提案が認められたことについて、ウナギの資源管理に詳しい、中央大学の海部健三准教授は、「問題のある取り引きや資源が適切に管理されていない実態を、これまで日本が野放しにしてきたことに目を向けなければならない」と述べ、日本が不透明な国際取引の問題を解決できないことへの国際社会の警告だと指摘しています。そのうえで、海部准教授は、実態調査の結果やその後の対応に、国際社会の理解が得られない場合は、3年後に開かれる次のワシントン条約の会議で、ニホンウナギなどの国際取引の規制が提案される可能性が非常に高いと指摘しています。ニホンウナギなどの国際取引が厳しく規制される事態になれば、ウナギの多くを輸入に依存している日本では、ウナギの流通量に大きな影響が出るおそれがあります。日本は世界最大のウナギの消費国として、流通の正常化をはじめとする資源管理の責任を果たすことが求められています。
日本国内での養殖用に輸入されるウナギの稚魚は、およそ8割が香港からのものですが、その香港で稚魚の漁は行われておらず、稚魚がどこでとられたものなのか、不透明な状態となっています。ウナギの業界団体によりますと、香港経由で日本に入る稚魚の多くは、輸出が禁じられている台湾などからのものとみられ、水産庁もこうした問題のある取り引きが存在することを認めています。
こうした中、EUは、「不透明な国際取引がウナギの乱獲を招いている」として、ウナギの最大の消費国、日本を含めた国際取引の実態調査を提案しました。提案の中で、EUは、「ニホンウナギ」について、生息地である日本などの東アジア地域で、漁獲や国際取引について実態の把握が十分に行われていないほか、違法な取引が行われている懸念もあると指摘しています。
こうしたEUの提案が認められたことについて、ウナギの資源管理に詳しい、中央大学の海部健三准教授は、「問題のある取り引きや資源が適切に管理されていない実態を、これまで日本が野放しにしてきたことに目を向けなければならない」と述べ、日本が不透明な国際取引の問題を解決できないことへの国際社会の警告だと指摘しています。そのうえで、海部准教授は、実態調査の結果やその後の対応に、国際社会の理解が得られない場合は、3年後に開かれる次のワシントン条約の会議で、ニホンウナギなどの国際取引の規制が提案される可能性が非常に高いと指摘しています。ニホンウナギなどの国際取引が厳しく規制される事態になれば、ウナギの多くを輸入に依存している日本では、ウナギの流通量に大きな影響が出るおそれがあります。日本は世界最大のウナギの消費国として、流通の正常化をはじめとする資源管理の責任を果たすことが求められています。
業界団体「本気で取り組まなければ」
EUが提案した実態調査が認められたことについて、全国の養殖業者でつくる業界団体「全日本持続的養鰻機構」の村上寅美会長は、「3年後に開かれる次の会議で、ニホンウナギの国際取引の規制が提案される可能性があり、規制されれば、日本のウナギ業界は大打撃を受け、食文化も守れなくなる。イエローカードどころの話ではなく、本気で取り組まなければ大変なことになる」と話しています。そのうえで、村上会長は、「ニホンウナギが生息する東アジア各地の業界団体と協力して、天然ウナギの保護や養殖の制限を自主的に進めることで、国際社会の理解を得られるように取り組みたい」と話しています。