米FRBが金融政策会合 利上げめぐる議論に注目

アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は、20日から2日間の日程で金融政策を決める会合を開きます。市場からは、今回は追加の利上げを見送るものの、年内に利上げに踏み切るという観測が出ていて、景気の現状や見通しについてどのような議論が行われるか注目が集まっています。
FRBは、20日からワシントンで金融政策を決める会合を開きます。会合では、イエレン議長が先月の講演で「追加の利上げに向けた根拠は、ここ数か月間で強まっている」と述べたことをふまえ、去年12月以来となる利上げを行うかどうか意見が交わされます。

FRBの内部では、雇用情勢の改善を背景に、アメリカ経済は緩やかに拡大しているとして、景気が過熱する前に追加の利上げを行うべきだという意見が出ています。
その一方で、消費の伸びにややかげりが見られ、企業の設備投資の減速が続いているうえ、物価の上昇も緩やかなペースにとどまっているとして、利上げをする状況にはなっていないという指摘も根強くあります。

市場では、今回は意見の集約が難しくFRBが追加の利上げを見送るという見方が多くなっていますが、年内に利上げに踏み切るという観測が出ていて、景気の現状や見通しについてどのような議論が行われるか注目が集まっています。
去年12月以来となる追加の利上げをめぐってFRB=連邦準備制度理事会では出席者の意見が分かれています。

追加の利上げを求めている出席者は、FRBが重視する雇用情勢の改善を挙げています。失業率は、リーマンショックの前の5%を下回る水準が続いているうえ、就業者の数も最近の3か月の平均で20万人を超えていると主張しています。
こうした雇用情勢の改善を背景にアメリカ経済は緩やかに拡大していて、ことし後半にかけてGDPの伸びも加速するとしています。
また、ことし6月、イギリスが国民投票でEU=ヨーロッパ連合からの離脱を決めたことによる経済への影響も、今のところ大きくないとしています。

このため、景気が過熱してバブルの状況を生まないよう、遅れることなく追加の利上げをすべきだという意見や、経済の悪化に備えて金利を下げて景気を調整する余地を残すため、今のうちに金利を上げておくべきだという意見が出ているのです。

一方、追加の利上げを見送るべきだとする出席者は、現在の景気の状況ではリスクが多いとしています。この春以降、好調だった個人消費は、けん引役の自動車の販売の落ち込みなどによって、先月の小売り業の売り上げ高が0.3%の下落に転じるなど、やや伸びにかげりが見られるとしています。
また、FRBが雇用と並んで重視している物価の動向について、緩やかな伸びにとどまっているとして、賃金の動向を確認する必要があると指摘しています。
そのうえで、アメリカ経済は低成長や低インフレが続き、景気が過熱する兆しは見られないとしていて、今、利上げは行わず、引き続き今後の経済指標を確認する必要があるとしています。

このようにFRBの内部では、景気の現状や先行きについて見方が分かれていて、イエレン議長がどのように意見の集約を図るのか注目されています。