【コラム】170万円の賃上げにも不満、欲深い現代自労組

【コラム】170万円の賃上げにも不満、欲深い現代自労組

 韓国の現代自動車の賃金交渉が先月末に決裂したが、その過程は外部の視線を全く意に介さない労使の「伝統」をあらためて示した。同社労使の暫定合意案は5万8000ウォン(約5400円)の賃上げ、成果給および激励金として基本給の350%プラス350万ウォン(約32万円)、1株13万ウォン(約1万2000円)に上る株式10株を支給するというものだった。労働組合員1人当たり平均1800万ウォン(約170万円)の給料上乗せになり、これはほぼ非正規雇用者の年収に相当する。14回の時限ストの末にたどりついたこの暫定案を、現代自の組合員は78%という圧倒的反対で否決した。すでに9700万ウォン(約900万円)の年収をもらっている組合員たちが、賃上げ幅が小さいと不満を爆発させると、労組の委員長は「組合員の気持ちをきちんと汲み取ることができず、申し訳ない」と頭を下げた。

 現代自労使の団体協約に、下請け、孫請け会社の納品単価と利益、そこで働く労働者に対する配慮は全く見られない。作業服と特別メニューの食事の単価を上げるという合意は入っているが、若者の新規採用余力を生むための賃金ピーク制(雇用を保障する代わりに一定の年齢以降は賃金を引き下げる制度)拡大は抜け落ちている。ただ、給料を少しでも多くもらうための労組の闘争と、これをなだめるための会社側の談合的な妥協があるだけだ。

 現代自労組のストは、労使が賃上げ案にサインする前に行う「儀式」に近い。この5年間、同社労組は毎年ストを実施し、ストの後に毎年同じような水準の賃上げ案に労使がサインするのが慣例になっている。今年も、過去2年に比べ賃上げ幅が小さいとの理由で少しこじれただけで、同じプロセスを踏んでいる。

朴宗世(パク・チョンセ)社会政策部長
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 【コラム】170万円の賃上げにも不満、欲深い現代自労組

right

関連ニュース