蹴球探訪
奇跡の初優勝見えた レスター・岡崎が激白「試合後はいつも悔しい」(4月27日)
【大相撲】豪栄道、かど番から14連勝で初優勝 九州場所で綱とりだ2016年9月25日 紙面から
◇秋場所<14日目>(24日・両国国技館) 千秋楽を待たずに決めた。大関豪栄道(30)=境川=が玉鷲を寄り切り、初日から14連勝で初優勝を遂げた。11月の九州場所(福岡国際センター)で横綱昇進に挑む。大関かど番での優勝は2008年夏場所の琴欧洲以来で、新入幕から54場所目は史上4番目のスロー記録。日本出身力士としてはことし初場所を琴奨菊が制して以来となった。 新大関として土俵に上がった平成26年秋場所から、いつ終わるともなくけがに泣かされ続けた豪栄道の2年間。「なかなか思うような結果が出なくて、つらい日々があった。情けないという思いが常にあった」。そのすべてをこの一番にぶつけた。 大阪府交野市の実家から駆けつけ、12日目から両国国技館で見守ってきた母・沢井真弓さん(60)は、この日も東の花道寄りのたまり席で手を合わせていた。「自分の相撲を信じろ」と、おかみさんにメッセージを託してくれた師匠(元小結両国)の言葉に迷いも消えた。 得意とする右四つから玉鷲を寄り切る。13日目の夜は優勝が決まったかのように電話が鳴り続けた。「きのうは初めて一睡もできなかった」。そんな重圧を打ち破り、大阪出身の力士として山錦以来、86年ぶりの優勝で初優勝に花を添えた。 豪栄道が土俵を下りても拍手はやまない。結び前の力士が土俵に上がってからも「ゴーエイドー!」コールは続いた。インタビュールームに呼ばれると、口元を何度もゆがめ、大粒の涙がほおを伝った。 大関昇進後は一度も万全で相撲を取ったことがない。膝、肩、手首、太もも、目。主立ったところでもこれだけある。膝をけがしたときは上半身を、肩をけがしたときは下半身を。部屋近くのジムと、母校・埼玉栄高の土俵で300キロのタイヤを裏返したり、地道なトレーニングを続けた。 「高1のときは、朝6時から掃除、洗濯、ちゃんこ番。それから授業を受けて稽古。帰ってから洗濯。量もはんぱなくて2台の洗濯機を4回まわしてた。強くなりたいから苦にならなかった」という当時の思い出が復活の支えにもなった。 「1つのスポーツで成功している人は、陰ですごい努力してる。近場にいないから分からんけど人知れずやってる。言っちゃうとね。嫌いなんすよ、自分で努力してますってやつが」 優勝後もけがのことは口にしなかった。「万全だからって勝つわけじゃない。そういう問題じゃない」。大関昇進時の口上の「大和魂」をいく生き様。全勝をかけ挑む千秋楽。その先には綱とりが待っている。 現行制度となったかど番優勝から横綱昇進の例はない。だが、ひとりだけ、昭和以降では昭和16年5月場所後に昇進3場所前に負け越した羽黒山は昇進した。「まぐれと言われんよう、来場所頑張る」。一年締めくくりの場所で74年ぶりの奇跡へ挑む。 (岸本隆) PR情報
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