“釈放”という言葉を聞いて耳を疑った方も多かろう。高畑裕太(23)は同情の余地がない重大犯罪で逮捕されたはず。この急展開は母・高畑淳子(61)の尽力の賜物か、切れ者弁護士の手腕によるものか。誰も解説しない“釈放劇”の裏側から読み取れるのは――。
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誰もが予想だにしない、まさに大逆転で掴み取った“釈放劇”である。とはいえ、逮捕から17日ぶりにシャバの空気を味わった高畑裕太が、晴れやかな表情を見せることはなかった。
「この度は……みなさまに多大なるご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳ありませんでした!」
上ずった声でそう叫ぶと、前橋警察署前に集まった報道陣の問いかけには答えず、ただ睨み返すのみ。
彼が前橋市内のホテルで女性従業員に性的暴行を加えたとして、8月23日に強姦致傷容疑で逮捕されたのはご承知の通りだ。
母・高畑淳子の謝罪会見がワイドショーを席巻したことは記憶に新しいが、
「それ以降も、事件を報じる情報番組は軒並み高視聴率を記録した。なかでも、連日のように大きく扱ったフジの『バイキング』は、昼時の激戦区にもかかわらず視聴率を最大で2%上乗せしています」(民放関係者)
よもや、本人もこんな格好で“数字を稼げる”俳優になれるとは思いもしなかっただろう。
だが、事件が大々的に取り上げられるなか、彼が早々に不起訴となり、釈放される可能性を指摘した番組はほぼ皆無だった。強姦致傷罪は被害者の告訴がなくても検察の判断で起訴できる重大犯罪だからだ。
その点については裕太の弁護側も否定はしない。
釈放当日の9月9日、彼の弁護人は不起訴に至った経緯を説明する“文書”を発表した。弁護人が所属するのは「法律事務所ヒロナカ」。同事務所を率いる弘中惇一郎弁護士は、ロス疑惑の三浦和義氏や、堀江貴文氏の弁護を務め、“無罪請負人”の異名で知られる。
件の文書では強姦致傷について、こう断じている。
〈悪質性が低いとか、犯罪の成立が疑わしいなどの事情がない限り、起訴は免れません。お金を払えば勘弁してもらえるなどという簡単なものではありません〉
では、なぜ急転直下の“釈放劇”は現実のものとなったのか。
元東京高検検事の川口克巳弁護士が解説する。
「被害者のケガの程度が軽微だったと聞くので、検察は“致傷”の事実に固執せず、単なる強姦での起訴を考えた可能性がある。強姦致傷と違って強姦は親告罪なので、被害者が告訴を取り下げると起訴はできなくなります」
フラクタル法律事務所の田村勇人弁護士が付け加えるには、
「強姦致傷罪は非親告罪ですが、示談によって告訴が取り下げられ、不起訴となるケースは珍しくありません。加害者側が無罪を主張する場合、検察は有罪を立証するため被害者に出廷を求めます。しかし、すでに示談が成立していると出廷を拒まれることも少なくない。そうなると、検察は公判の維持や被害者の心情を考慮して、起訴に慎重にならざるを得ないのです」
先の文書も、裕太の不起訴・釈放に〈示談成立が考慮されたことは事実と思います〉としている。
だが、田村弁護士は裕太の弁護側の見解に疑義を呈するのだ。
「文書を読む限り、弁護側は“大金を積んで示談にしたから不起訴になったのではない。もともと悪質性が低かったのだ”と印象操作をしている。ただ、それだけで強姦を否定するのは難しい。深夜にひとりで宿直をしていたホテルの従業員が、客室で合意のもとに性行為に及んだというのは、やはり不自然に映ります」
また、〈仮に、起訴されて裁判になっていれば、無罪主張をしたと思われた事件であります〉という表現についても、
「無罪主張と示談は相反するものです。冤罪と考えているなら、そもそも示談すべきではない。一般人であれば200万~300万円の示談金も、彼のような有名人になると2000万円は下らないと思います」(同)
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