25年振りのリーグ優勝の熱気も冷めやらぬ中、廣瀬純が今季限りでの現役引退を表明した。
廣瀬は2000年に逆指名のドラフト2位で入団して以降、カープ一筋16年。2010年に打率.309、12本の好成績を残し、持ち味の強肩を生かしてゴールデングラブ賞を獲得。
オールスター初出場も果たした。2013年に15打席連続出塁のプロ野球新記録を達成させたことも記憶に新しい。しかし、ここ2年間は若手の飛躍的な成長もあってか、1軍での出番はなく、遂にユニホームを脱ぐことを決意した。
私は学生時代、沖縄春季キャンプ中にインタビューをさせてもらったときのことを、今でも鮮明に覚えている。優しく受け答えをしてくれたこともそうだが、取材後に気持ち程度の謝礼を手渡そうとしたら、頑なに拒まれたのだ。
それでも、引き下がらずに「受け取ってください」と伝えた。すると、廣瀬は「わかった。はい、受け取りました。じゃあ、これは僕からのプレゼント。学生なんだし、みんなで飲みにでも行きな」と封筒を私たちに渡し、部屋から去っていった。なんてかっこいい大人なんだ…。私は一瞬で心を掴まれた。
始まりの鐘が鳴る、広島伝説——
これは、廣瀬の応援歌のファンファーレ部分だ。カープファンの中でも非常に人気が高く、本人も気に入っているという。引退表明後に話をした際、自身の応援歌について「かっこいいので、今後も誰かに引き継いでもらいたい」と語っていた。
誰が引き継ぐのに相応しいのだろうか。そう尋ねると、「これから広島で伝説を作っていく選手」として、菊池涼介の名前を挙げた。
二人にはこんな縁がある。今や菊池のトレードマークとなっているヒゲだが、その師匠は廣瀬だ。菊池はルーキーイヤーの2012年に、当時現役だった石井琢朗打撃コーチから「もみあげが濃いから、（廣瀬）純みたいにしてこい」と言われ、そこから伸ばし始めた。
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