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“定年は50歳、社会保障は70歳から”というのが理想だよね - 「賢人論。」第2回田原総一朗氏(後編)

特別インタビュー「賢人論。」第2回(後編)田原総一朗氏は「生まれ育った家を離れたくないという思いは、もう贅沢な時代になったと言える」と語る

加速する超高齢社会において、大きな問題の一つとして挙げられているのが「介護に関する地域格差」。政府はそれを解消するため、高齢者の地域移住を促し、地域コミュニティで高齢者をケアしていく「地域包括ケアシステム」を推進しようとしているが、現実化には様々な壁が立ちはだかっている。そこで聞いた、田原氏が考える超高齢社会における「理想的な社会システム」とは?

取材・文/川口有紀(フリート) 撮影/伊原正浩

「定年は50歳、社会保障は70歳から」が理想

みんなの介護 前回にご登場いただいた堀江貴文さんのお話では、最低賃金を撤廃することで、高齢者でも働きやすい社会が理想という意見がありました。田原さんも未だ現役で働かれているわけですが、その点に関してはどう思いますか?

田原 それは大事だね。僕は、定年自体はもっと若くしていいと思う。でも、契約社員でいいから70歳までは働けるようにする、と。年金のスタートも70歳でいい。だってみんな、働いてたほうが元気なんだよ。そうすれば高齢者の医療費も削減できる。

みんなの介護 介護予備軍も減らせる、と。

田原 70歳まで働かせたらいいんですよ。だって今、日本の人口比で一番多いのは何歳代だと思う? 60代だよ。一番多い世代が遊んでるなんて無駄な話だよね、絶対働かせた方が良い。これが20年後になると、一番多いのが80代になるわけだから。完全に逆ピラミッドだよね。

みんなの介護 その逆ピラミッドを20~40代が支えていくといういびつな構造になっているわけですよね。

田原 面白いよね。

みんなの介護 若い世代にとっては面白くないですよ(笑)。

田原 だって、自分たちが頑張らなきゃって思うじゃない?(笑)。

みんなの介護 介護問題に関しては、地域の格差も問題視されています。例えば都会は人も施設も多く比較的住みやすいけれど、地方はどんどん過疎化・高齢化が進んでいく、という現状があります。この辺りに関してはどう思いますか?

田原 それは今後、大きな問題になっていくと思う。例えば最近調べたんだけどね、僕が生まれた頃、日本は満州という国を統治していたわけだけど、日本から移住を促すポスターがあって。このキャッチフレーズが「混み合いますから満州へ」というものだったの。日本は過密で混み合っているから満州へ行きましょうよ、と。この時の日本の人口はどのくらいかというと、7500万人ですよ。

みんなの介護 今が1億2000万人ですから、比べるとかなり少ないですよね。

田原 だから、人口が減ること自体は怖いことじゃないんだよ。7500万で「混み合います」って言ってたわけですから。

みんなの介護 先ほど移民受け入れの話もありました(第2回「移民法を整備しないと介護業界の労働力も確保できない」)けど、逆に将来的に海外移住というのはありでしょうか?

田原 受け入れてくれる国があればいいんじゃない?結構いるよね、マレーシアとかニュージーランドとかね。

「賢人論。」第2回(後編)田原総一朗さんは「東北の新しい都市が日本の超高齢社会のモデルケースになるかもしれない」と語る。

「地方は楽しい」というビジョンを自治体が示すべき

みんなの介護 政府としては今後、地域包括ケアシステムを想定して、高齢者の地方移住を推進したいわけですよね。これに関しては進んでいくと思いますか?

田原 地方に住むのが楽しい、というビジョンができればね。今、そういうビジョンがあまりないじゃない?

みんなの介護 「楽しい」という切り口は新鮮に感じます。今、地方自治体で取り組んでいる政策だと、税金やサービスなどの面で「お得」というのを打ち出している自治体が多いようですが。

田原 それも含めての「楽しい」だよ。でもそのためには、地方自治体主導でアイデアを出さないとダメだよね。今、石破茂さんが地方創生担当大臣として中心になって地方創生に取り組んでいるけれども、それを可能にするには地方自治体自体が「ああいうことをしよう、こうしよう」という新しい意見を出さないとダメ。以前は中央集権で国が考えたものを…という形だったけど、それではいい意見は出てこないよ。地方自治体から声を上げないと。

みんなの介護 今の地方自治体にそれだけのパワーはあると思いますか?

田原 あるでしょう。求められれば力を発揮すると思いますよ。

みんなの介護 中央から与えられた政策だけをやるのではなく、自治体自体が「こうしたい」というビジョンをはっきり持つのが大事だと。

田原 そうすれば、それを実現するために国は動きますから。今はそういう時代ですよ。あと、さっきも言ったように、7500万人だった時代を考えると、産めよ増やせよで人口自体は増えすぎたわけだ。それがまた元に戻ろうとして、人数が少なくなっているのが今の地方自治体の現状。

それで今よく言われているのが、人が住んでいる場所だけ広くなりすぎてしまった地方自治体は、今後計画性がないとダメだということ。例えば5万人とか10万人とか、ある程度のまとまった人数の住む町を作り、それ以外の場所に住んでいる人は移住してもらう。そういう都市計画のシステムが必要になってくるよ。

みんなの介護 生まれ育った家、土地を離れたくない、という人は…。

田原 それはもう、「贅沢」だよね(笑)。離れなくてもいいけど「不便ですよ」「一人ですよ」と。それを選択せざるを得ない時代にはなっていると思う。そのあたりも自治体がきちんと働きかけるべきなんだよ。

みんなの介護 近い将来、「消滅する可能性がある自治体」というのも少し前に話題になっていましたが、それはもう逆に消滅してもいいと。

田原 そうだね。無理に存続させる必要はないし、再編成が必要になってるんだよ。ぐっと居住地域ばかり伸びすぎてしまったわけだから。

みんなの介護 今、日本で都市計画が顕著に進んでいるのは、震災から復興している東北の地域ですよね。

田原 そういう意味では幸せな土地だと思うよ。大きな災害という悲惨なことはあったけれど、そういう都市計画をやらざるを得ない状態になった。そう考えると、他の地域に比べて進んでいるわけですよ。東北の新しい都市が、日本のこの先の超高齢社会の新しいモデルケースになるかもしれないね。

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