大嫌いだったのに

2016.09.23 koshi

私は現在、クラリネットを吹いています。
始めたきっかけは中学時代に入った吹奏楽部。だけど最初は見た目も演奏もとてもかっこよかったサックスがやりたくてやりたくて...
実はクラリネットが嫌いでした。見た目は微妙だし吹きにくいし。
希望を書く時もクラリネットなんて書かなかったのに何故かクラリネットパートになってしまい当時は毎日が本当に嫌でした。
やりたくもない楽器をなぜやらなければいけないのか?なぜ私はサックスが吹けないのか。
そんな時先輩から
「自分の希望通りの楽器にならなかったとしてもしっかり愛してあげて良い音を出せる様に頑張ってください。」
と言われました。
この言葉は私の心の中に今でも残っていてよく思い出します。
当時の私はそんな事言われても嫌なものは嫌。愛せるわけない!!
と反抗心丸出しでした。もちろん練習だって適当。
そんなある日に自分の先輩達のパート練習を聴く機会がありました。
クラリネットの2・3年、合わせて4人で行われる局合わせの練習。
思えばこの時が初めて少人数アンサンブルを聴いた時でした。
初めて聴いたパート練習、初めて聴いたクラリネットの重なる音...
当時やる気もなくろくに吹けもしなかった私の耳には魔法の音に聴こえてきました。
たった4人なのに何倍もの音量、沢山の音が重なりハーモニーとなって一つの曲になっていく過程。
あの時の分厚い音達に包まれた瞬間は今でも忘れられません。
たかだか田舎の中学生の何でもない練習。ですがあの時の私にはこれ以上の感動はありませんでした。
一心不乱になって練習し始めたのはこの時から。
あんな演奏がしたい、あんな音が出したい
...そうやって毎日毎日研究と練習に明け暮れた日々。
気がつけば高校は音楽コースに進学しそのまま大学も音大へ行きました。
そして現在、私はクラリネットで仕事をしています。
あんなに嫌いで嫌いで仕方なかったこの楽器が今となっては愛しくて仕方のない相棒になっています。
そして今でも思い出します、楽器があんなに嫌いだったのに、と。
そして人生は何が起こるか分からないなあ、と初めて感じた出来事です。