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日本語と絵文字 伝わる文章力も磨こう

 電子メールが重要なコミュニケーションの手段になって久しい。

     笑顔や泣き顔といった絵文字などの感情表現を、多くの人が気持ちを分かりやすく伝えるために使用している。文化庁が公表した2015年度「国語に関する世論調査」から、こんな日本人像が浮かび上がった。

     今年2〜3月、全国の16歳以上の男女を対象に実施された調査から、インターネットの利用の仕方や感情を表す表現を見てみよう。

     ネットを利用する人は40代以下で97%以上にのぼり、利用の仕方ではメールが最も高かった。情報機器の普及が言葉遣いに影響すると思うという回答は85%以上あった。

     絵文字を見たことがあるという回答は85・1%で、使うことがあるという回答は56・1%あった。(笑)(汗)などの表現を見たことがあるという回答は77・1%を数え、使うことがあるのは39・3%だった。

     絵文字を用いる理由を聞いたところ、気持ちをより分かりやすく伝える、相手への親しさを表す、感情や気分などのニュアンスを加える、が上位を占めたのは注目される。

     メールには、顔を合わせず時間をおいて意思疎通を図る特性がある。キーボードなどで打つ短文を「打ちことば」と呼ぶ専門家もいる。

     日本大の田中ゆかり教授(日本語学)は、絵文字など記号類の多用について、欠落するニュアンスを補うだけでなく相手への配慮や自己演出の表現になっているとみる。絵文字を用いるという回答が女性に多いことから、女子の「かわいい文化」が先導役になっていると指摘する。

     英オックスフォード辞典の「2015年を表す言葉」にうれし泣きの顔文字が選ばれた。絵文字が世界に広がっているということだ。

     しかし、絵文字は万能ではない。

     例えば笑う表現をとっても、日本語にはいくつもの単語がある。言葉の感覚を研ぎ澄まし、区別して使える単語を増やさなければ、ぴったりの言い回しはできない。微妙な感情のひだを一つの絵文字で表すことはやはりできないだろう。

     さらに、自分の考えや感情を正確に伝える日本語の力を養うことは思考力を深めることにもつながるはずだ。絵文字ばかりに頼っていては、そうした言葉の力は養えない。

     今回の調査では、日本語を大切にしていると8割弱が回答した。地域や職場であいさつをし合うときなどに、多くの人が心と心を結ぶ言葉の大切さを感じることも分かった。

     無料通信アプリ「LINE(ライン)」のスタンプをはじめ、絵文字は今も進化している。新しい文化を大事にしつつ、日本語の表現力を高めることも心がけたい。

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