あらすじ:短い北の夏。ある出来事をきっかけに仕事を辞めてしまい、無為な毎日を過ごす男、佐藤達夫(綾野剛)。ある日、パチンコ屋でひとりの青年、大城拓児(菅田将暉)と知り合う。彼は前科者でチンピラ風情ながら無垢で憎めない奴だった。そんな拓児は海辺に建つ粗末なバラックに家族と暮らしていた。
そこで拓児の姉、千夏(池脇千鶴)と運命的な出会いを果たす達夫。しかし千夏は家族を守るために自らの人生を諦め、絶望の中に生きていた。(allcinema)
『綾野剛』100満点映画!
個人的に綾野剛が苦手なんだけど、この作品ではグッと引き込まれた【そこのみにて光輝く】。綾野剛の100点満点の使い方というか、主人公の男:達夫はかなりハマり役だと思う。脚本は彼ように当て書きしているのかな?
綾野剛でしか出せな薄汚れてすさんだ空気感、口数の少なさ、内に暗い何かを抱えているような人物像を体現してて、それをこちらもナチュラルに受け取れる。
本作の綾野剛は、綾野剛好きじゃない人でもイケると思う!多分。
この映画は綾野剛に限らず『数少ないキャストがみんな最高』の映画だった。中でも一番光輝いてたのは、達夫がパチンコ屋で出会うチンピラの拓児を演じた菅田将暉。異常にフランクというかほとんど壁がなくて、粗暴でテンションがおかしい懐きキャラ。
演じるって事を超えて、もうまさに『田舎町にいる菅田将暉似のそういうヤツ』でした。飯の食い方やゴミ外すくだりとか。
菅田将暉スゲぇよ!これから気になるな。
拓児の姉の千夏を演じた池脇千鶴のリアルな肉体感と、結構着回してそうなイマイチな服の着こなし感とか良かったです。あと高橋和也さんゲスな感じも素晴らしい。
これきっと面白いヤツだわ
この監督ギョッとさせたり、わざとスカしたり、シーンに対する音楽の当て方とか上手いく、開始10分くらいで「あ、これきっと面白いヤツだわ」と思わせる作品って最近あんまり無かったな〜と。【her/世界でひとつの彼女】でもちょっと感じたけど。
部屋のきったない貧困描写とか細部のディテールもシッカリしてるいるし、タイトルに『光』が入ってるだけあって、夜の町の光・部屋に微かに漏れる光・浜辺の逆光も凄く綺麗で印象的だった。ちょっとローカルな函館の景色が冷たい閉塞感を上手く醸し出していると思う。
それぞれがくすぶって、どうしようも無くてそれを受け入れてしまってたところから、出会いをキッカケに少しづつ変化し微かな希望を見出す。邦画ならではの良さをいかんなく発揮した、2014年公開日本映画の傑作ですね!
まとめ
良かった点
- 数少ないキャストが文句無しで最高!
- 監督の上手さが際立つ
- 函館の閉塞的な空気感
- 差し込まれる音楽の良さ
悪かった点
- 所々強引な展開があったり
評価:★★★★ 結構良かったぜ!5点満点ちょい手前ぐらいの素晴らしい出来!
[ 予告編 ]
これを機に邦画の旧作をもっと観て行きたい!
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パーマネント野ばら
ニュアンスはちょっと違うけど同じく『閉塞感』映画ならこれも。この映画にも池脇千鶴出てます、もう池脇千鶴は日本を代表する『閉塞感女優』だと思うわ。