9月26日(月)に、全部で3回行われる大統領候補テレビ討論会の第1回が開催されます。

普通、第1回目の大統領候補テレビ討論会は最終的な選挙の結果に大きな影響を与えないと言われています。その理由は、第1回目でしくじっても、後の2回の討論会で挽回できるし、過去の経験ではそういうことが多かったからです。

しかしこの討論会を前に両候補の選挙公約はかなり具体的になってきており、それぞれの候補が大統領になった場合、それがその後の経済にどういう影響を与えるか? を、じっくり投資家が考えることがはじめて出来るようになったと言えます。

トランプは保護貿易主義をハッキリと打ち出しています。具体的には中国からの輸入品に45%、メキシコからの輸入品に35%の関税をかけるということです。またNAFTAをやめ、WTOからも脱退することを提唱しています。

それらの一連の提案が与える経済効果について先週、ピーターソン国際経済研究所が調査レポートを発表しました。それによると「米国では480万人の失業者が新たに生まれ、米国経済はリセッションに陥るだろう」としています。

次に税制ですが、税制改革に関する両候補の考えは、真っ向から対立しています。トランプは個人の所得税率をこれまでの7段階から3段階へ簡素化することを提唱しています。その過程で裕福層の税率は下がってきます。また相続税の廃止を訴えています。これも裕福層を利する提案です。向こう10年間で連邦政府の税収は4.4兆ドルから5.9兆ドルも減収になると思われます。

一方、クリントンは年収5百万ドル超の裕福層の税率を43.6%へ引き上げることを提案しています。また相続税控除額をこれまでの545万ドルという比較的高いハードルから350万ドルへ下げることで相続に際し税金を納めることを要求される人たちの「裾野」を広げます。また相続税率は45%から最高65%までとします。

つまり裕福層の視点から見れば、トランプは減税、クリントンは増税派だということです。

トランプは「自分が大統領になったら、新しいFRB議長を指名する」と言っています。イエレン議長の任期は2018年2月で切れます。クリントンは「投資銀行や銀行出身者は連邦準備制度の理事や地区連銀総裁になれないというルールを作る」としています。これはダドリーやフィッシャーが退任しなければいけなくなることを示唆しています。

ウォール街のジンクスでは本投票の直前の三ヶ月、つまり8月8日を起点とし、11月7日までの株式市場の動きは、大統領選挙の結果を占う指標として、とても信頼性が高いと言われています。この期間に相場が下げるようであれば、新しい政党出身の大統領になるということです。

1

今回もそのジンクスが当たるかどうかに注目したいと思います。


PS:なお9月28日(水)に「FOMCのまとめと大統領選挙に向けたETF戦略」セミナーを開催します。どなたでも参加できます。上に書いたことをもっと掘り下げた、詳しい話ができると思いますので、是非、ご参加ください。

インヴァスト証券主催OPENセミナー「FOMCのまとめと大統領選挙に向けたETF戦略」