い草博士が解説する「畳をカビから守る方法」

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9月24日は全国畳産業振興会が制定した「畳の日」。この日を記念し、羽田空港にて「畳ワールドin東京」というイベントが開催された。

会場へ足を運んでみると、空港内のモダンな雰囲気の空間に約36畳の畳敷きスペースが設置されていた。座ってみると、い草の香りが心地よい。畳の縁は熊本県のご当地キャラ「くまモン」のデザインになっていて可愛い!

このイベントは、全国畳産業振興会が2020年の東京五輪に向けて畳の魅力をPRするもの。当日は畳の前掛けが可愛い「畳メイド」と「くまモン」が応援に!

さらにい草の研究をしている、北九州市立大学の森田洋教授がみなさんがお悩みの畳のお手入れ方法について教えてくれるとのこと。カビが生えないようにするにはどうしたらいいのだろうか。

■畳には学習効果を向上させる効果も!

お手入れの前に、森田教授は畳の効能5つについて説明してくれた。

「い草にはリラックス効果があります。い草の香りは樹木やバニラ、紅茶などと同じ要素からできているのです。また、い草はスポンジ構造になっていて中に無数の穴が開いているため、吸着性や弾力性、吸音性に優れている上、吸放出性が高いので部屋の湿度を下げる効能もあるのですよ」(森田さん)

室内の湿度を下げるため、夏場は室温を低く保つ効果があり、地球にも優しいというわけだ。

「い草は抗菌効果も大変高いです。白癬菌(はくせんきん)という、水虫の原因になる菌への抗菌性が非常に高いので水虫が移る心配がありません。O-157をはじめ、さまざまな菌への抗菌効果があるんです」(森田さん)

抗菌効果もさることながら、畳には学習効果もあるという。

「ある塾で小中学生を対象に、勉強部屋に畳を敷いて、計算問題を時間内にできる限り解いてもらう実験を行ったところ、解答数が全体で14.4%も伸びました。これは、い草のもつリラックス効果と吸音性による集中力の持続効果が要因だと考えられます」(森田さん)

畳を敷くだけで、集中力が増すとは驚きである。このような面からも、子ども部屋は畳の方がいいとのこと。

「さらに、い草には薬草としての効果もあるんです。利尿作用もありますし、むくみをとったり、ぜんそくにもいいと言われています。ある高校の女子生徒を対象に、一日に4.5gのい草の粉末を飲んでもらったところ便通が改善されたという結果もあります」(森田さん)

リラックス効果、スポンジ構造がもたらすメリット、抗菌効果、学習効果、薬草としての効能、という5つのメリットを持つ「い草」。私たちが知らないだけで、畳はいいこと尽くしの作用を持っているのである。

■カビ防止には畳の表面を拭くだけではダメ

畳の大敵はなんといってもカビ。昔の家は構造上、風通しがよく空気の流れがあったためにカビが生えにくい環境だったが、現代の住居か気密性が非常に高くなっているため、かえってカビが生えやすいという。

「そもそもなぜ畳にカビが生えるかというと、私たちの衣類についたカビの胞子が元なんです。外から持ち込んだ胞子が部屋の中で浮遊して、最終的に畳に落下し、カビが生えてしまうのです。また、食品に生えたカビが台所から飛んで畳の上に落下するということもあります」(森田さん)

空気中を舞うカビの胞子を想像するとおそろしくなってしまうが、その対策方法はただひとつだという。

「とにかく“換気”をすることです。換気をして室内の湿度を最低でも60%以下に保ち、室内のカビの胞子数を減らすことが大事です。もし、カビが生えてしまった場合は、エタノールで拭き取ってください。その際、濃度が70%のエタノールで拭き取るようにしてください。市販の除菌スプレーなどはエタノールの濃度が薄いものもあるので注意が必要です」(森田さん)

森田教授によれば、カビの中で人体に悪影響がある種はごく一部なのでそれほどカビを恐れることはないが、お手入れしておくほうがいいとのこと。

「カビを防ぐために畳敷きの部屋では、洗濯物を干すこと、食べこぼし、加湿器を使うことの3点は控えてください。これらがカビの原因になりますので」(森田さん)

畳の替え時の一つの目安は「い草の香り」がしなくなることだという。正しくお手入れしながら、時期がきたら畳を裏返しにしたり、張り替えをしたりして長く使っていきたいものである。

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●専門家プロフィール:森田 洋(もりた ひろし)
北九州市立大学教授。北九州のい草の生産量が低下し、農家の方が困っていることを知り、15年以上前からい草の研究を始める。い草の効能に関する著書も多数。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)